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SNSで反響、歌舞伎町ゲイバー店員の「いじめを受けた過去との向き合い方」

 新宿・歌舞伎町のゲイバー「CRAZE」に勤務するカマたくさん(@takuya_hyon)が、5月7日に投稿した動画が152万回以上も再生され、大きな話題となっている。カマたくさんは、独特のユーモアセンスが光る“ひとり語り”動画で注目を集める存在。現在、Twitterで85.4万人ものフォロワーを抱えている人気者だ。  10.6万以上のいいねと3.4万回以上のリツイートを集めているが、その動画のなかでカマたくさんは、自身のいじめ体験を告白。いつも明るいカマたくさんの意外な過去に、驚いた人も少なくなかったようだ。しかし、注目を集めたのは辛い経験を語ったからだけではないだろう。いつも通りの軽快なテンポで、いじめに対する達観した考え方を披露したことが、支持の獲得につながったのではないだろうか。
 なぜトラウマになっていてもおかしくないような辛い記憶から、人々を楽しませる動画を生み出すことができたのだろうか。そんな疑問を、カマたくさんご本人にぶつけてみた。

「自分を偽って生きたくない」根本的な考え方の違いがいじめのきっかけに

 カマたくさんが動画投稿を始めたのは、友人であるメイクアップアーティストのVanessa;)さん(@hsm_0715)から、「文字入れて動画撮りなよ!」と勧められたことがきっかけとのこと。  これまでは、ゲイ風俗やハッテン場での体験談を動画にし、世間の話題をさらってきたわけだが……なぜ今回は、いじめられていた過去を語ろうと思ったのだろうか。その真意を尋ねてみたところ、「特にきっかけはないです」、「そんなこともあったなあと思い出して」と、実にあっさりした回答が返ってきた。  次に、いじめられていた時期を振り返っていただいた。動画のなかでは「(当時の自分は)まぁ浮いてたんでしょうね」と語っていたが、具体的に“浮いている”と感じた経験があったのだろうか? 「(いじめられていたのは)小、中学生あたりです。“浮いている”と感じたエピソードはとくにないですが……周りと考え方が違うなあとは思っていました。当時は、男の子は男の子らしく、女の子は女の子らしく、というのが普通とされていた時代でしたが、それについて私は、“なんで? 私はやりたいようにやるし、自分を偽って生きたくない”と思っていました」(カマたくさん、以下同)

カマたく流“過去との向き合い方”「自分も相手も今を生きてるから」

 世の中で語られる“普通”に疑問を持ち、自分らしく過ごしていたのがいじめのきっかけとなってしまったのだろう。前述の動画によれば、こうしたスタンスを貫いたことにより、教科書を燃やされたり、暴力を振るわれたりといった、非常に悪質ないじめを受けていたという。  しかし動画のなかでは、「どうせまた嫌なこと言われるんだろうな……と毎日毎日思いながら、毎朝7時に登校していました」とも語っている。登校拒否になってもおかしくない状況のはずなのに、なぜ毎日登校できたのだろうか。 「自分が学校にいることで、いじめっ子が嫌な顔をするので。『存在することで嫌がらせができるなら、ずっと居てやる!』と、思っていました(笑)」  現在、たくさんのフォロワーを集めているカマたくさん。動画のなかでは、SNS上で知名度が高まったことにより、いじめっ子から連絡が来たことも明かしている。  何事もなかったかのように、気軽に声をかけてくるいじめっ子についてカマたくさんは、「仲良くなろうとしてるんだったら仲良くしてあげようかなって思ってます」と、過去のことは水に流して接しているそうだ。なぜ、恨んだり憎んだりしてもおかしくない相手を、許すことができるのだろうか。 「(いじめられた相手を)許す、許さないではなく、もう過去のことだからなかったことにしました。自分に対しても、相手に対しても、“今”を生きているので。過去に向き合うということもあまりしないので、『あったかもね、そんなこと』ぐらいの軽い感じです」 ――学生時代の辛い体験を、今を肯定することで華麗に乗り越えているカマたくさん。動画のなかで語られていた「自分の考え次第で自分を救える」という言葉は、過去のいじめ体験に苦しむ多くの人に響くメッセージとなるのではないだろうか。<取材・文/A4studio>
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