腕時計投資家の斉藤由貴生です。
私は軽井沢にくわしいと自負しているのですが、くわしいと言っても、そこには別荘民目線と地元民目線があります。私は幼稚園のころから、毎年夏に軽井沢の別荘に行っていたのですが、20代になると、軽井沢があまりにも好きすぎて、軽井沢で働いてしまったという経緯があります。そのため、別荘民目線でも地元民目線でも軽井沢を見ることができるという特殊な視点を持っているため、自分は「ハイブリッドな視点で軽井沢にくわしい」と思っているわけです。
斉藤由貴生
というわけで、今回は私の大好きな軽井沢のお話をしたいと思います。
お金持ちが集う軽井沢は高級クラブがあってもよさそうなのに……
軽井沢と言えば、今の時期から夏にかけてまさにベストシーズンとなるわけですが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため移動を自粛しなければならないので、気軽に出かけるわけにもいきません。ですので、今の軽井沢は閑散としていることでしょう。
軽井沢といえば「高級別荘地」という印象があるため、多くのお金持ちが集まる場所と思われています。お金持ちが集まるということから、高級クラブのようなお店があるのでは?と思う人が意外に多く、港区出身者でも「軽井沢にそういうお店があると思ってた」という人がいるぐらいです。
いかにも軽井沢らしい風景
しかし、結論からいうと、軽井沢にそのようなお店はありません。もちろん、少しはあるのですが、スナックが数件ある程度。それらのお店も地元の人を対象しているため、東京の人を対象とした店ではないわけです。
ちなみに、私は軽井沢のスナック数件に行ったことがありますが、それらのお店で別荘民と思われる人に出くわしたことがありません。夏の時期に、諏訪からバイトしに来ていた女子大生と話したことがありましたが、彼女いわく「銀座のようなことを期待していたが見当違いだった」とのことでした。
では、なぜ軽井沢に高級クラブがないのでしょう。
その答えは簡単で、軽井沢が女性の街だからです。軽井沢の「ヌシ」は女性なのです。ですから、男性にとって軽井沢は街全体が女性の支配下であるわけです。
実際、別荘に滞在しているのはほとんどが家族。単身で来る方がいたとしても、その多くは女性です。男性だけで軽井沢の別荘に来るということはほぼなく、そのようなことがあったとしても、早朝ゴルフに備えて夜は早く寝てしまうわけです。ですから、単純に軽井沢には高級クラブの需要がないのです。
別荘を所有する男性にとって、軽井沢は街全体が近所のようなもの。軽井沢にいると、知り合いに街でばったり会うことがよくあります。また、東京ではあまり会わないご近所さんにも会うといったこともあり、とにかく街が狭いのです。ですから、軽井沢の別荘にいるときに、女性のいる店に行きたいなどという発想にすらならないと思うわけで、その結果、需要がまったくないのでしょう。
夜の軽井沢は真っ暗。誰もいない……
なお、高級クラブはありませんが、高級クラブの経営者は自ら別荘を所有して、余暇を楽しまれていました。作家の山口洋子さんといえば、高級クラブ「姫」のオーナーですが、そのような業界の重鎮クラスの別荘が軽井沢にはあるわけです。ちなみに私は小学生のころ、一緒にバーベキューをさせていただいたことがあります。
軽井沢に高級クラブがない社会構造については、ここまで説明したとおりですが、軽井沢から少し離れた別エリアにそのようなお店があるのでは?と疑問に思われる人もいるでしょう。
しかし、結論からいえば、それもありません。
そもそも軽井沢町は、条例で23時以降の営業が禁止されていますが隣町にいけばそのような条例はありません。そのため、隣町に軽井沢のお金持ちをターゲットにしたお店があるのではと推測する人がいますが、そのようなお店も聞いたことがありませんし、そもそも軽井沢の社会構造からして、需要もないと思います。
旧軽井沢銀座
軽井沢に行くと、男性は子供のようになると思います。東京では責任ある仕事をして、仕事後は銀座に行っているような人たちも、軽井沢では薪割りしたり、DIYしたりしているわけです。知り合いも、朝からサンマを外で焼いていましたが、奥さんが呆れ返っていました。
ですから、このようなマインドの軽井沢文化に対して、ナイトライフは相性が良くないのでしょう。
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、
「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『
腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『
もう新品は買うな!』がある