更新日:2020年11月29日 08:58
お金

コロナ倒産でカードローン280万円の返済ができない30代男性の現実

下がり続けている借金のハードル

 コロナの影響により失業や収入が減った人に対して「優遇金利での新規貸し付け」を打ち出す銀行カードローンが増えている。困窮する人にとってはありがたい動きのようにも思えるが、元消費者金融社員で自身も多重債務で苦しんだ経験のあるシロウ氏は「近年の銀行カードローンの隆盛こそ、コロナ以上にローン破綻を増加させている元凶」だと語る。 「運営するサイト『借金道』で、これまで1000人以上から相談を受けてきましたが、相談者の7割以上が銀行カードローンで借金をしています。テレビCMや広告を見ない日はないし、今やスマホだけで審査から融資までが完結。『大手銀行がやっている』という安心感もありますよね。  つまり、圧倒的な借りやすさと安心感を掲げた銀行カードローンが増えたことで、『お金を借りる』ことへの心理的ハードルがかつてないほど下がっていたんです。気軽に借金する人が増えた分、今回のコロナのようなリスクに耐えきれずローン破綻する人が増えているのが実情です」

銀行の本音は…

 日銀と日本貸金業協会の統計から、銀行カードローンと消費者金融の貸付残高の推移を調査。’10年に改正された貸金業法により、グレーゾーン金利の撤廃、年収の3分の1までしか貸し付けできない「総量規制」が定められて以降、消費者金融の貸付残高は年々減る一方だが、貸金業法の対象外である銀行カードローンは年々増加し続けていることがわかった。
’13年以降に銀行カードローンが台頭

消費者金融と銀行カードローンの貸付残高を示したグラフ。両者の減少と増加は反比例し、’13年に貸付残高が逆転している(出典:日銀と貸金業協会の統計から編集部作成)

 総量規制の対象外であるため、銀行カードローンは多額の借金に膨れ上がるケースも少なくない。都内の銀行員はこう明かす。 「金利0%台の住宅ローンに比べて、カードローンは3~15%。利ザヤが大きいから銀行は次々と審査を通して『もっと借りてくれ』というのが本音。こうした状態が金融庁に問題視されて自主基準を設けた銀行は増えたけど、それでも大きな“稼ぎ口”になっていることには変わりない」  失業にはいたらなくても、コロナによって残業代やボーナスがカット、収入減で計算がくるう人もいるだろう。 「年末には冬のボーナスを返済のアテにしていたカードローン債務者の破綻が増えることは想像に難くありません」(シロウ氏)  お金を借りることは悪ではない。しかし、行きすぎた“簡便さ”の誘惑に負けてしまった分だけ、コロナ禍では仇となってしまうのだ。
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ほかにも、ローン地獄に陥った人々が…
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