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奨学金、毎月11万円の返済。コロナで残業もボーナスもない31歳の苦悩

制度の不備と金融事業化、奨学金の構造に問題あり

 そもそも奨学金とほかのローンは「返済能力がわからないときに借りる」点で大きく異なる。学生時代に多額の奨学金を受けても、将来それに見合った収入が得られる職につけるとは限らない。 「そのため、ほかのローンよりも柔軟な返済制度や救済策が揃っていなければならないのに、現状まったく仕組みができていない」と語るのは、弁護士の岩重佳治氏だ。 「返済期間を猶予する措置はあるものの、条件が年収300万円以下、延滞があると利用を制限されるなど、適用はかなり限定的。返済額や延滞金を減額できる制度もこの調子で、要件が複雑かつ厳しい。背景にあるのは、’00年代以降、奨学金事業を手がける日本学生支援機構が回収強化策に乗り出したことです。  延滞3か月でブラックリストに登録、延滞4か月に債権回収会社に回収を委託、法的措置を取る段階も延滞9か月に早められました。『延滞があると猶予が制限される』といった扱いも、規則ではなくその時々の運用によって適用されています」  金融事業としての色合いを年々濃くしていった結果、今や奨学金は未来ある若者への投資でなく、ただの借金だ。佐伯さんも支援機構に返済猶予を求めたが、年収450万円では「要件を満たしていない」と門前払いを食らうばかり。

増え続けている奨学金受給者

 その一方、受給者は増え続けている。
[ローン破綻]の現実

’80年代から’90年代にかけて20%台だった奨学金受給率は、納付金の増加とともに年々上昇。’12年には50%に到達した 出典:文部科学省「学校基本調査」

 文部科学省の「学校基本調査」による、大学初年度納付金と奨学金受給率の推移では’80年代から’90年代にかけて20%台だった奨学金受給率。 「学費の高騰に比例して奨学金受給者も年々増加。’10年代からは50%前後で推移しています。制度が変わらなければ、今後も奨学金で破綻する人が続出するのは想像に難くありません」(岩重氏)  コロナの影響で加速する奨学金破綻。だがその構造的問題は、想像以上に根深い。 【弁護士・岩重佳治氏】 ’13年に「奨学金問題対策全国会議」を設立。事務局長として返済困難な利用者の支援を積極的に続ける。著書に『「奨学金」地獄』(小学館新書)など <取材・文/週刊SPA!編集部>
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年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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