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『鬼滅の刃』兄弟は必ずすれ違う。なぜ家族なのに分かり合えないのか?

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第231回 刀 映画が大ヒットしている『鬼滅の刃』では、各キャラクターの行動理由が詳しく描かれています。風柱の不死川実弥は弟の玄弥に対して、「俺に弟なんていない」と冷たく当たり、自分から遠ざけていました。  彼はなぜ実の弟をわざわざ遠ざけようとしたのか。人は誰かに心を揺さぶられることで、決断や行動ができるようになります。実弥が影響を受けたのは、同じ鬼殺隊の隊士だった粂野匡近です。

すれ違う兄弟

 実弥は敵幹部の「下弦の鬼」を倒したことで柱に昇格しました。しかし、この時一緒に戦っていた匡近は命を落としてしまいます。匡近は我流で戦っていた実弥に師匠を紹介するなど、実弥のことを気にかけていました。匡近は弟を鬼に殺されており、実弥にその弟を重ねていたのです。  このことを実弥は匡近が残した遺書で知りました。そして、その遺書には「たとえ自分がそばにいられなくても、大切な人に生きて天寿を全うしてほしい」と書かれていました。だからこそ、実弥は大切な家族である玄弥を鬼殺隊から追い出そうとしたのです。

誰かの影響が人の行動を決める

 この時の実弥の心情は「お手本」です。黒死牟という鬼に殺されそうになった玄弥を守った時、実弥は「テメェはどっかで所帯持って家族増やして爺になるまで生きてりゃあ良かったんだよ」と毒づきます。これは匡近の遺書の内容と類似しています。このように影響を受けた相手に自分を重ねると、人は決断や行動ができるようになります。  鬼滅の刃では、こうした一筋縄ではいかない「兄弟の絆」が何度も描かれています。主人公の炭治郎は刀鍛冶の里編で、「妹の禰豆子を守るか、鍛冶師を守るか」という究極の選択を迫られます。この時、禰豆子は自分に覆い被さって守ろうとする炭治郎を蹴り上げて、鍛冶師を守るように促しました。
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無一郎と有一郎
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