私たちは当たり前のように会社や学校に通っています。しかし、それが自分の意志とは別の理由で通えなくなると、途端に大きなストレスを受けるようになります。水や酸素と同じように自分の居場所も、当たり前が当たり前でなくなるほど大変なことはありません。 　樹木にとってアイドルグループは自分の居場所でした。浅羽の言動が、そこから追放された悲しみに対するなぐさめになったからこそ、樹木との恋愛が始まったのです。 　もちろんそれはスタート地点であってゴールではありません。恋愛は恋人同士の出来事だけに限りません。他人から始まって、知人、友人、恋人、婚約者、夫婦へと発展していく過程に複数の恋愛要素が含まれています。樹木にとっては、その要素の一つが「なぐさめ」だったということです。 　信念を持つには、自分が決めたテーマについて日頃から情報を集める必要があります。また、ただ信念を持つだけでなく、それを誰かに話して、自覚を高めることも大切です。信念の3要素に、このヒントとアウトプットを加えた5ステップを私は「マインドレコーディング」と読んでいます。 〈マインドレコーディングの5ステップ〉 1.テーマを決める 2.ヒントを集める 3.エピソードを振り返る 4.フレーズを作る 5.アウトプットで確かめる 　第1話の冒頭で、樹木がコンビニのお客様相談室の電話オペレーターに絡むシーンがあります。このシーンで「コンビニスイーツを食べたら心が軽くなった」と話しています。そのコンビニスイーツについてSNSでレビューしたことがきっかけで、浅羽と出会い、関わるようになりました。 　人生は何がきっかけになるかわかりません。それは心がどうにかして自分に必要なものを手繰り寄せようとするからです。樹木は無気力になってくすぶりながらも、自分でも気づかぬうちに現状から抜け出す行動を取っていました。 『恋あた』はドラマなので、わかりやすくインスタントに多くの出来事が展開しています。現実の場合はもっと複雑で時間がかかるのがほとんどです。しかし、人生が変わるプロセスは現実もドラマも変わりません。大切なのは挫折で無気力になったとしても、自分の心だけは確かめ続けることです。 コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』（扶桑社）が発売中