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『鬼滅の刃』の炭治郎はなぜ人を救えるのか? ロジカルに分析してみた

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第233回 刀『鬼滅の刃』の主人公、竈門炭治郎は出会った人を次から次へと救っていきます。鬼に殺されそうになった人を物理的に救うのはもちろんですが、悲しみに打ちひしがれている人を心理的に救う場面がたくさんあります。  たとえば水柱の冨岡義勇に対して、炭治郎は「義勇さんは、錆兎が託したものを繋いでいかないんですか?」と尋ねました。すると義勇はその言葉をきっかけに昔のことを思い出し、仲間の輪に加わるようになりました。  また霞柱の時透無一郎に対しては、「人のためにすることは、巡り巡って自分のためになる」と話しました。すると無一郎は義勇の時と同じように昔のことを思い出し、人に感謝できるようになりました。

信念が人を変える

 こうした変化を相手に起こせるのは、炭治郎が「信念」に着目しているからです。何かを成し遂げたり、習慣や性格を変えたりするには信念が必要です。そして、信念は「テーマ」「エピソード」「フレーズ」の3つで出来ています。 <信念の3要素> 1.テーマ(取り組むべき課題) 2.エピソード(心を揺さぶられた体験) 3.フレーズ(体験について考えたこと) 『鬼滅の刃』は物語の性質上、「親しい人の死」が頻繁にテーマになっています。義勇は自分の姉と友人の錆兎が、自分を助けるために死んだことを悔やんでいました。この境遇を聞いた炭治郎は、かつて自分が体験した「自分たちを助けるために、煉獄杏寿郎が死んだ」という出来事を思い出しています。  この時、炭治郎は煉獄杏寿郎から「もっと成長して、今度は君たちが鬼殺隊を支える柱になれ」という遺言を授かりました。そして、その言葉のままに「杏寿郎のように強い柱に必ずなる」という信念を持ちました。そんな彼だからこそ、義勇に「錆兎が託した想いを繋いでいかないんですか?」と尋ねたのです。

信念を人に語って自覚を高める

 親しい人の死に対しては、「受け継ぐ」「繋ぐ」「継承」といったフレーズが答えになります。しかし、ただそうした方程式を知っているだけでは十分ではありません。自分で体験して自分で考えたこと、つまり信念を自覚しながら伝えるからこそ、その言葉が相手に響くようになります。  信念を持つには、自分が決めたテーマについて日頃から情報を集める必要があります。また、ただ信念を持つだけでなく、それを誰かに話して、自覚を高めることも大切です。信念の3要素に、このヒントとアウトプットを加えた5ステップを私は「マインドレコーディング」と読んでいます。 〈マインドレコーディングの5ステップ〉 1.テーマを決める 2.ヒントを集める 3.エピソードを振り返る 4.フレーズを作る 5.アウトプットで確かめる  炭治郎の場合、義勇から聞いた話がヒントになって、自分の体験を思い出し、「亡くなった人の想いを繋ぐ」という信念を確かめる機会になっています。義勇のためを思ってしたことが、自分自身のためにもなっている。信念にはこうした相互作用があります。
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『鬼滅』の鬼滅らしさは炭治郎の慈悲にある
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コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

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