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「尾身」と呼び捨てにでもしようものなら、不敬罪が適用されそうな勢いだ/倉山満

「尾身」と呼び捨てにでもしようものなら、不敬罪が適用されそうな勢いだ

言論ストロングスタイル

「いっそ大木隆生先生にコロナ担当大臣をお願いし、内閣の命運を賭けて中央突破を図ってはどうか」と2月2日号の本連載でも触れた東京慈恵会医科大学教授の大木隆生氏 写真/朝日新聞社

 大昔、バカ教師に出くわしたことがある。「80点取ったら許してやる」とテストされ、90点取った。バカ教師は私が90点取ると思ってなかったのだろう。「100点でなければダメだ」と言い出した。自分で決めた基準を守れない、救いようがないバカ教師だった。  このバカ教師に、劣るとも優らぬ大バカ者がいる。  東京都医師会会長の尾﨑治夫だ。現在の緊急事態宣言の解除基準を東京都の場合は「500人以下」と政府は決めた。ところが、尾﨑会長は「500人ではダメだ。100人以下に抑えよ」と言い出した。どういう魂胆か知らないが、都民がおとなしくしている内に口を慎むべきだろう。「コロナ」と言えば、国民が黙って実験動物のように言いなりになると考えているとしたら、今の内に改心されるよう忠告する。  前安倍晋三内閣以来の愚かな政策を受け継ぎ、菅義偉内閣のコロナ対策は迷走を極めている。菅内閣はコロナをペストのように危険な伝染病だとの前提に立っている。だから経済を止めてしまう極端な自粛を要求する。ところが一方で、一連のGoToキャンペーンで一部の業界にバラマキを行う。ところが、昨年の夏には何の準備もせず、冬になってコロナ患者が少しばかり増えると、突如として緊急事態宣言だ。昨日までGo Toを擁護していた医者が、飲食業を諸悪の根源のごとく糾弾するのには、開いた口が塞がらない。  政府の助言者である医者集団の長は、誰がどう見ても尾身茂氏だ。なにせ、総理大臣が記者会見をする際、必ず同席する御方だ。まるで神聖不可侵のごとく、大臣すら必ず「尾身先生」と呼ばねばならないらしい。 「尾身」と呼び捨てにでもしようものなら、不敬罪が適用されそうな勢いだ。その尾身“先生様”が宣う、「歓送迎会をするな」「花見に行くな」「卒業旅行に行くな」などなど。「マスクをしろ」「人と会うな」「食事中は黙れ」だけでは、気が済まないらしい。

もし尾身が信念の人であるならば

 世の中には尾身“先生様”を信念の人として、聖人君子のごとく称える向きがある。本当か。  もし本当に尾身が信念の人であるならば、オリンピックなど絶対に中止しなければならないはずではないか。仮にコロナがペストのような伝染病なら。まさか、国民全員に花見に行くなと命令しながら、オリンピックは利権が絡むから言えない、などありえまい。今の状態で尾身氏が「辞めさせてもらう」と言えば、政府は如何なる要求をも受け入れるだろう。真に「尾身先生」が信念の人であるならば、オリンピックなど即刻中止、国民に卒業旅行や歓送迎会を自粛させる代わりに、損失分の補償を財務省に認めさせるはずだ。ところがそんな素ぶりも見えない。  花見は4月だが、オリンピックの中止の決断は3月だ。事実、欧米ではコロナは猛威を振るっており、日本とは事情が違う。そんな国の人々を入れてオリンピックを行うなど、いかなる科学的根拠があるのか。
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子供じみた妄想を捨てて、大人になろう
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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