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政府が今国会で提出しようとしている特措法は、憲法違反のオンパレードだ/倉山満

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政府が今国会で提出しようとしている特措法は、憲法違反のオンパレードだ

「実態は議員立法」  1月13日の『読売新聞』3面に驚愕の見出しが躍った。今国会で政府が提出しようとしているコロナ対策特措法のことだ。政治と行政を少しでも知っている者なら、中身を見なくても問題法案だと思う。要するに「デタラメな法案」との暗号だ。どういうことか。  政府が国会に提出する法案は厳重な事前審議が行われる。その過程で、与党(自民党)と関係官庁、そして利害関係のある業界団体の間で調整がなされる。そして最難関が、内閣法制局の審査だ。法制局は「憲法の番人」を自称し、この連中が目を光らせているから「日本国の法令には矛盾が無い」との建前になっている。実際、実務の世界では「あの法案は国会で重大な変更が行われたので」と言えば、「国会議員が勝手に変更したので、デタラメな内容になった」との意味である。  ここまで説明すれば、「実態は議員立法」の意味が分かろう。内閣法制局がまともな審査をしていない、デタラメな法案だとの暗号なのだ。そして事実、政府が今国会で提出しようとしている特措法は、憲法違反のオンパレードだ。

これまでの流れを確認

 これまでの流れを確認しよう。  昨年の緊急事態宣言では、日本経済を事実上、止めた。政府が営業の自粛を「要請」、給付など「事実上の補償」を行った。「要請」には強制力がない。だから政府に補償の義務はない。それでも従ってくれた協力への見返りとして、本来ならば支払わなくても構わない金を恵むから、「事実上の補償」だ。名目は給付や協力金など、さまざまだ。そして従わない場合には、「自粛警察」が容赦なく押し寄せてくる。  多くの人々にとって、店を閉めたら赤字だが、開けても客は来ない。ならば、「自粛警察が来ない分、政府の休業要請に応じた方が精神的に楽だ」との理由で、店を閉めてしまう。それにこのSNS時代、マスコミに店名公表でもされたら、どんな私刑(リンチ)が待っているかわからない。泣く泣く従った。
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違憲のオンパレード
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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