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会社の後輩にゴマをする40代ヒラ社員の生存術「若手の好き嫌いはすべて把握」

ヒラ社員の戦略あれこれ

ヒラ社員

写真はイメージです

・残業代を稼いでいると思われたくないので、就業時間に即退社。残った仕事は家で片づけている(47歳・通信) ・一つのミスが命取り。失敗リスクのある仕事は徹底的に回避。リストラの口実をつくらせない(54歳・製造) ・完全歩合制にしてもらうよう自ら申し出た。給与は5割減だが、上層部からは感謝された(40歳・証券) ・毎日部長を家まで送迎。部長が乗る15分前から会社周りを走行。エアコンの効きをよくしている(52歳・銀行)

「真面目に仕事」しても死ぬまでヒラ社員でいられない

 死ぬまでヒラ社員で生きる人たちは、会社にぶら下がるために、日々まじめに仕事をこなす。  実際、全国の45~54歳正社員男性の中から、役職に就いていない300人を抽出し、週刊SPA!がアンケートを実施(調査期間は’21年1月29日~2月2日)すると、Q「会社に居続けるために必要なことは」という問いに対しても、「仕事を実直にこなす」(65%)との回答が最も多かった。 ヒラ社員 だが、「その発想はズレている」と、人事コンサルタントの曽和氏は言う。 「実直に仕事をこなすだけなら、若手社員や契約社員でいい。経営者としては“年配の真面目に仕事をこなすだけの社員”は業績が安定しているうちはいいですが、悪化したときに切り捨てる候補に挙げられてしまいます」  同様に「スペシャリストになる」(33%)も、30代社員が目指すスキル。40代以上の社員の戦略としては弱い。たとえ管理職でなくとも、後輩をサポートすることが、生き残り戦術としては正しいのだが……。 「バブル崩壊後に後輩や部下が入社してこなかったため、長くプレーヤー意識が根づいてしまったのでしょう。彼らはマネジメント能力を身につける機会を逃してしまった世代でもあるのです。  ただし、人は40歳を超えたあたりから役職に関係なく、自分よりも長く生きる年下を育てたいという生物的な欲求が芽生えます。いずれ自分が死すべき存在であることを実感するため、自身の持っているものを次世代に継承していきたいと考えるようになるのです。 『仕事を実直にこなす』だけのヒラ社員は、こうした欲求が満たされないため、メンタル面にも悪影響を及ぼしやすいですね」  多くのヒラ社員が「自分はここまでの人間だ」とこぼし、ネガティブな空気を醸し出しているのは、欲求不満が募った結果ともいえるのだ。
曽和利光氏

曽和利光氏

【人事コンサルタント・曽和利光氏】 京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルート入社。’11年人材研究所設立。著書に『コミュ障のための面接戦略』(星海社) <取材・文/週刊SPA!編集部>
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