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会社の後輩にゴマをする40代ヒラ社員の生存術「若手の好き嫌いはすべて把握」

社内サバイバルが激化するなか、大多数のサラリーマンは“出世”という一つの目標を諦めなければならない。リストラされずに、ヒラ社員として社内で居場所を確保している人たちはどのような生存戦略をとっているのか。具体的な事例を見ていきたい。

【ケース1】でまかせ風水で社長に取り入る

ヒラ社員

親戚に風水師がいるとウソをつき社長と仲良くなった松田さん。「クビになったら転職できる自信がない。意地でも今の会社にしがみつきますよ」

 社長に「ウソをついてでも会社に残る」と話すのが松田義之さん(仮名・48歳・不動産)だ。 「小さな不動産会社なので、社長とも距離が近いんです。社長に取り入るために情報を集めていたら、風水好きということがわかったので『親戚に風水師がいる』というウソをつきました。僕は自他ともに認めるほど仕事ができないので出世もしませんが、クビはつながってます」  社長が買った風水アイテムをもらったり、パワースポット巡りに付き合わされたりと「まるで『釣りバカ日誌』のスーさんとはまちゃんの関係ですよ」と、松田さんは自嘲する。 「ただ『トイレに置く花の色はどれがいいか親戚の人に聞いておいて』と、社長から自宅の風水事情について相談されるんですよ。なので、僕が適当に“風水師のお言葉”として答えてます。実際、会社の業績も右肩上がりなので、もしかして自分には才能があるのでは、なんて思ってます」

【ケース2】上司より、若手に目をつけるヒラ社員も

 モラル的にもアウトな方法で上司のゴマをする人がいる一方、若手に目をつけるヒラ社員もいる。 「これまで、同僚や後輩が出世していくのを見送ってきたので、デキる若手を見極める能力が身につきました。同じ部署内の30代の後輩が、一を言えば十わかるタイプの有望株なので、彼をヨイショしています。デキる若手数人の好みそうな居酒屋をリサーチして、彼らに奢ることもありますね」  そう話すのは町田亮太さん(仮名・45歳・運輸)。  飲みの場でも、町田さんの涙ぐましい努力は続く。 「例えば、若手が上司の愚痴を言っていたら『○○が正しい! 昔からアイツは何もわかってない』と全力で賛同します。全員の好き嫌いも全部把握しているので、メニュー選びも完璧。彼らがどうすれば喜んで気持ちよく酒が飲めるかだけを考えてますね」  町田さんはいずれいなくなる上司より、将来上司になるかもしれない若者に望みを託しているのだ。  死ぬまでヒラ社員で会社にしがみつくということには、人並み外れた努力が必要のようだ。
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ヒラ社員の戦略あれこれ
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