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ファスト映画問題でわかった「映画は長くて耐えられない」人たちの存在

ファスト映画の問題は映画の前提が失われている状況を示していた

ファスト映画

逮捕者が出たにもかかわらず、Youtubeには数多くのファスト映画がアップされている

 映画を10分程度に無断編集した「ファスト映画」と呼ばれる動画投稿。6月には全国で初めて「ファスト映画」を投稿していた男女3人が著作権法違反容疑で逮捕されるなど、大きな動きが起きた。  もちろん、ここで他人の著作物を侵害する悪質な動画投稿者たちを叩くことは容易である。しかし、そうした動画投稿者を一方的に叩けるほど筆者も身ぎれいに生きているとは思っていない。ネットを利用していれば、軽重はあれど大抵の人が著作者に無断でアップロードされている動画や音楽、マンガなどを閲覧したり、ダウンロードして利用した経験はあるはずだ。  今の若い世代に話してもにわかには信じてもらえないが、インターネットが普及し始めた頃に創刊された雑誌『ネットランナー』なんて「悪用厳禁」ととりあえず記載した上で「WinMX」や「Winny」などのファイル交換ソフトの記事を盛んに掲載していた。これらのソフトは、接続したユーザーが互いに自分の持っている動画や音楽を交換するという、まごうことなき著作権の侵害である。 

著作権に対する意識の変化

 かつては、それが当たり前どころかなぜか使命感を持っている人も多かった。筆者も長らくマンガやアニメ関連の取材をしてきたが、今では大学に職を得ているような研究者が平気でマンガやアニメの著作権を侵害していたこともあった。取材に行って話をしていると、何かの拍子に「ここだけの話だけど」と、録画したアニメを海外のサーバーにアップロードしているとか、雑誌をバラしてスキャンして、こちらもアップロードしているというのである。  当時の彼らの論理は「海外では、時間差もあるし現地で販売されない場合もあるから当然である」というものだった。今ではフランスの某大学の教授になっている研究者にいたっては雑誌に堂々と「子供の頃は日本のアニメなんてなかなか入手できないので、違法にアップロードされたものばかり観ていた」と書いていたことがある。会った時に、あの記述は問題ではないかと尋ねたら「まったく悪いことではない」と流暢な日本語で返された。  先日、初めて「ファスト映画」の投稿が摘発されたことで、多くのメディアが実際に投稿を行っている人物に取材をしているが「ちょっとは悪いことだと思っている」から「使命感」まで幅があるのは20年くらい前と変わらない。
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長い時間映画を観ることができない
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