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国際情勢が揺らぐなか、いま日本がすべきこと/倉山満

現代戦において、戦闘員と非戦闘員をどう区別するか

 現代戦ではSNSも重要だ。フェイスブックの「ロシアへのヘイトスピーチは許可」は勝手な商売なので、ロシアも閲覧禁止などで対抗措置をとっている。  一方、グーグルはロシアの秘密軍事施設の解像度の高い写真を全世界に公開している。戦場では、発見された軍隊は全滅した軍隊だ。業を煮やしたプーチンが、米国のグーグル本社に殺し屋を送ったらどうなるか? アメリカの国内法で対処、つまり「警察に電話してください」だ。では、海外旅行中の社員が拉致されたら? 当然、捕虜資格はない。  ゼレンスキーは、「男は戦え!」と宣言し、ウクライナ人は実行している。女・子供・老人・病人・怪我人、つまり非戦闘員は疎開した。この時点で男は非戦闘員ではない。戦時国際法(交戦法規)を守らねばならない代わりに、捕虜資格がある。  ゼレンスキーは、ロシア兵をスマホで写真や動画にとって拡散せよと指示。ウクライナ人はドローンを飛ばしてもいる。完全な害敵行為だ。  ロシアから見ると、「ウクライナの男は戦闘員」だ。しかも「軍服を着ずに非戦闘員の姿で我々の仲間を殺している」となる。ロシアがこうした論理を悪用しないよう、監視する必要がある。

国際法ならば、我が国も援護射撃ができる

 たとえば虐殺だ。虐殺の定義は、「理由もなく惨たらしく殺すこと」だ。ロシアは、理由にならなくても理由を見つけてくる国だ。ちなみに日ソ中立条約を一方的に破棄した理由は「4年前に敵対的な演習を行っていた」だ。  世界的に話題のブチャの虐殺を例にとろう。ロシアがやっていることが、Massacre(虐殺)であるのは間違いない。強姦などは、弁護のしようがない。しかし、ロシアの論理からすると、「一部の不祥事はあったが、ウクライナは交戦法規を守らないで戦闘を行っている。だから、やむを得ない悲劇だ」と言いかねない。  カナダはロシアのやっていることをGenocide(民族殲滅)と言い出したが、いかなる屁理屈をも並べるロシアに対し、先手を打った格好だ。  宣伝戦で国際法は重要な武器。我が国も援護射撃ができる分野だ。
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在日米軍がいる限り大丈夫と高をくくっている場合ではない
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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