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歌舞伎町のホテルから飛び降りた16歳の“トー横キッズ”。亡くなる直前に語った「壮絶な過去」と「大人への絶望」

身分証がなく、未成年で売春を…

 Sちゃんは、流れるように援助交際に手を出した。その頃、Sちゃんは中学生。お金が尽きても未成年で身分証がなく、雇ってくれる店はない。稼げる手段が、それ以外に思いつかなかったのだ。自然と仲の良い者同士で集まり、一緒に大久保公園で春を売るようになった。 「ツイッターで相手を探したり、あとは歌舞伎町に立ってると、たちんぼをしているつもりじゃなくても、おじさんたちが声をかけてくるんです。やってる子は多い。みんな未成年です」  トイレは近くのゲームセンターですませ、身分証が必要ない漫画喫茶でたまにシャワーを浴びる。コンビニでご飯を買って、みんなで分け合って食べた。野宿をすることもあったが、宿泊客が野放しにされていると有名なビジネスホテルに割り勘で部屋を取り、肩を寄せ合って眠ることもあった。  驚くのは、歌舞伎町のある意味での立地の良さだ。トー横と呼ばれる広場から体を売るための大久保公園、潜り込みができるビジネスホテル、身分証がなくても入れる漫画喫茶……と、全てが徒歩圏内の小さな世界に凝縮されている。実際に彼女たちが過ごす道を歩くと、欲望が渦巻くその場所に妙な利便性を感じ、ますます異様に思えた。

市販薬を使ってフワフワとした気分に

トー横

ビジネスホテルにはこんな貼り紙も…

 Sちゃんはそんな場所で過ごすうちに、市販薬のODを繰り返すようになる。 「私が飲む薬はけっこう記憶とかとんじゃうんですけど、やなこととか思い出すと鬱になっっちゃうから、その気持ちをとばすためにやるんです。薬を飲むと全部忘れて楽しくなれたりする。お酒よりも手っ取り早くてすぐに手に入るし、お金もかからないODのほうが好き」  市販薬を使ってフワフワとした気分になることを「パキる」と表現し、仲間同士で薬を分け合っては過剰摂取し、嫌なことを忘れようとした。 ――鬱とか、そういう子は多い? 「多いと思う。虐待を受けたりしている子も多いから」 ――病院に行ったりはしないのかな。 「精神科にいってる子は、あんまりいない。“そっち”の薬にたよりたくない、抵抗がある」 ――違法薬物をしてる子はいないの? 「噂で聞くことはある。男の子は大麻とかやってる子が多くて、女の子によっては男の子と一緒に泊ったりするときに誘われてやったりしてると聞いたことがある。私はやらない。市販薬が好き」
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児童相談所は「地獄。嫌になる」
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厚生労働省が自殺防止のためホームページで紹介している主な相談窓口は次の通り。
▽いのちの電話
(0570)783556(午前10時~午後10時)
(0120)783556(午後4~9時、毎月10日は午前8時~翌日午前8時)
▽こころの健康相談統一ダイヤル
(0570)064556(対応の曜日・時間は都道府県により異なる)
▽よりそいホットライン
(0120)279338(24時間対応)
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