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歌舞伎町のホテルから飛び降りた16歳の“トー横キッズ”。亡くなる直前に語った「壮絶な過去」と「大人への絶望」

トー横は居場所「なくなってほしくない」

 Sちゃんはそうやって大人は信用できないと話す一方、「もっと話を聞いてほしい」とも話した。 「補導とかも大切なことだけど、どちらかというと無理やり帰らせるとかじゃなくて寄り添ってほしい。大人は理解がないと感じてしまう。トー横には、ただ遊びに来てるわけじゃない子も多いから」  私たちは彼女たちのことをどれだけ本気で考えているだろう。トー横をなくせば、彼女たちを深夜の街から追い出せば、その先に彼女たちは、本当に救われるのだろうか。 ――トー横って、Sちゃんにとってどんな場所なの? 「正直最近はネットとかメディアの影響で、軽い気持ちで遊びにやってくる子たちも増えた。だけど昔からいる子たちにとってあの場所は、何か事情があるこたちがそれをお互いに話して肩を寄せ合って現実逃避できる場所。なくなってほしくない」  インタビューの最後、Sちゃんは「16歳になったから、ドンキホーテに面接に行ったんです」と笑った。「履歴書も書いた。これで普通の仕事ができる」という彼女は、本当に嬉しそうだった。 「今、彼氏がいて。早くその人と一緒に、普通に幸せになりたい」

「大丈夫」と笑っていた彼女

トー横

yuzukaさん

 彼女はその時、確かに、未来を見ていた。見送ってすぐ、LINEを交換しながら、彼女のためにできることを、考えていた。 「もっと話を聞きたいから、今度かわいいカフェに行こうよ」  私の誘いに彼女が了解し、ふたりでカフェを探している数週間。時々薬で荒ぶった言動をとる彼女が心配で電話をするたび、彼女は「大丈夫」と笑い、そして私はその「大丈夫」を信じていた。彼女のツイッターアカウントから彼氏の文字が消えた時も、彼女は「大丈夫」と話した。ドンキホーテの面接に落ちたという連絡が来たけど、その時も「大丈夫」だと話した。「児相の人たちと話して、やっぱりあいつら最悪だった」と憤慨したLINEが来た時も、最後には「だけど大丈夫」と話した。
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歌舞伎町のホテルから飛び降りた彼女
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厚生労働省が自殺防止のためホームページで紹介している主な相談窓口は次の通り。
▽いのちの電話
(0570)783556(午前10時~午後10時)
(0120)783556(午後4~9時、毎月10日は午前8時~翌日午前8時)
▽こころの健康相談統一ダイヤル
(0570)064556(対応の曜日・時間は都道府県により異なる)
▽よりそいホットライン
(0120)279338(24時間対応)
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