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ゴミ屋敷から発見した「230万円で売れた“真っ黒のモノ”」の正体は…ゴミ清掃員芸人が語る「衝撃的なゴミ屋敷」の実態

ゴミの山から発見された「230万円で売れたモノ」

ゴミ屋敷——ところで、ゴミ屋敷から回収したゴミの中にも、まだ使えるものはあると思います。そういったものは、どう処分するのでしょうか? 柴田:不動産屋さんからの依頼などは、回収したものは自由裁量で処分できることが多いです。全部が全部ゴミではないので、極力どなたかが再利用できるようにしていました。その一手段として、ネットオークションで売却したりもします。  例として、オーディオ機器で埋め尽くされていた部屋を片付けたことがありました。こちらで買取しますと伝えたのですが、依頼人はすべて要らないと言ってきたので、リユースできそうなものはヤフオクで売ることになりました。その一つに、直径30cmほどの真っ黒い鍋みたいなものがありまして……。一体何なのか、まったく不明。  とりあえずヤフオクに出品したところ、100を超える入札合戦の末に、なんと230万円で落札されました。実はこれ、米国のビンテージブランドのスピーカーの部品だったのです。依頼者に還元しようと連絡したのですが、最初は要らないと断られたものの、最終的になんとか受け取っていただきました。

ゴミと思えるものでも需要はどこかにある

——その人はゴミだと思っても、他の人からするとゴミではないものがあるわけですね。 柴田:そうですね。ほかのゴミ屋敷でのお仕事でも、うちわに数万円の値段がついたりと、意外な掘り出し物が見つかることは稀にあります。ただ僕としては、それで稼ごうというよりも、リユースというかたちで人から人へと最後まで受け継がれていくことが大事かなと思います。  例えば、新品同様のTシャツが要らないという人がいるとします。その人からすると、このTシャツはゴミです。それを欲しいと引き取った人が、ヨレヨレになるまで着て不要になったとします。でもその状態でも、欲しいという人はいるかもしれない。そうしてリユースが循環して、本当に誰も要らないという状態になってはじめて、それはゴミになるというのが、僕の感覚なのです。  だから、ゴミと思えるものでも需要は必ずどこかにあって、行き先を探してあげることも、この仕事の大事な一部なのかなと思います。 取材・文/鈴木拓也 【柴田賢佑】 1985年北海道生まれ。20歳で芸人を目指し上京。2007年に柳沢太郎とお笑いコンビ「六六三六(ろくろくさんじゅうろく)」を結成。2016年より、芸人活動のかたわら、生前整理、遺品整理、ごみ屋敷の片づけなどを行う会社に勤務。2024年にお片付け団体「お片付けブラザーズ」を設立し、関東を中心に、片づけの手伝いやリユースサポート、発信などを行っている。著書に『ごみ屋敷ワンダーランド ~清掃員が出会ったワケあり住人たち~』(白夜書房)がある。 X:@ATAMADAINAMIC
ライター、写真家、ボードゲームクリエイター。ちょっとユニークな職業人生を送る人々が目下の関心領域。そのほか、歴史、アート、健康、仕事術、トラベルなど興味の対象は幅広く、記事として書く分野は多岐にわたる。Instagram:@happysuzuki
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