和食ブームのタイでコシヒカリ作りに挑戦する日本人
空前の和食ブームのバンコクにおいて、今年2月ごろから日本種米、コシヒカリなどいわゆるジャポニカ米不足が目立ち始め、在タイ日本人の家庭にまで影響が及んでいる。バンコクで入手できるジャポニカ米のほとんどがタイ北部で生産されているのだが、インラック首相が取り組む、米を担保とした融資政策によりジャポニカ米生産農家がタイ米生産に切り替えているためだといわれる。
そんな中、日本人の小宮克久さんが日本からコシヒカリの種籾を持ち込み、タイ北部のチェンマイ県チェンダオ郡で改めて日本の米をタイに根付かせようと奮闘している。
――なぜ今、コシヒカリを持ち込もうとしているのでしょうか。
「タイにもいろんな農作物がありますが、実際に生産者との距離があまりにも遠く、名ばかりのオーガニックが多いような気がしていました。嘘をつかず、正直に育成状況を消費者に見せることが安全という考え方をコンセプトに、消費者が状況を見られ、生産段階から状況把握できることを目指します。もちろん必要以外の化学肥料や農薬は使用しません」
――元々日本では米の仕事をしていたのですか?
「そういうわけではありません。大学卒業後に香港の旅行会社を経て、実家の旅館経営に入ったときに食品の仕入れや開発などを手がけたことがあるくらいです。今回のプロジェクトはチェンマイの北70kmのチェンダオという場所で、契約農家に委託する形を取っています。なんせ手探りのことばかりなので四苦八苦しながらがんばっているところです」
――今回の作付けから刈り取りまでの日程を教えてください。
「6月20日に籾撒き、7月24日に田植えをしました。刈取りは11月に予定しています。心配なのはやはり害虫やジャンボタニシの対策です。できるだけ農薬は使いたくないので、合鴨投入を検討しています。現状は6ライ(9600平方メートル≒2910坪)で、今後は5~10倍の農地を確保しようと計画中です」
――チェンダオを選んだ理由はなんですか?
「チェンダオは平地より比較的涼しく寒暖の差があり、水源確保が常時可能というところがあって選定しました」
⇒【写真】「小宮さんの田んぼ」はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=482587
チェンマイ市街地は発展してしまったために空気が悪くなってしまった。チェンダオはいくつかの山を越えた先にあり、同じチェンマイ県でありながら空気がよく、水もきれいな土地だ。近々、ミャンマーとの国境が新しくできるので、チェンマイとその国境ゲートの中間にある観光地としても注目を浴びている。
実は小宮さんは実家での仕事で「海宝いかしゅうまい」を開発し、2008年に国際的な食品コンクール「モンドセレクション」の最高金賞に輝く実績を持つ。新しいものを作り上げることに情熱を燃やす小宮さんのこのコシヒカリ生産計画は現在進行形で進んでいる。これらはフェイスブックの『Japanese RICE Project (https://www.facebook.com/koshihikarichiangmai)』にて随時経過が報告されている。11月にどんな結果が出るか。日本のものと同じ味になるか、楽しみである。
<取材・文・撮影/高田胤臣>
【関連キーワードから記事を探す】
「日本人同士は助け合いが必要だ」――46歳のバツイチおじさんは美女を魔の手から救い出そうとした 〈第6話〉
日本人初ミシュラン3ツ星店スー・シェフが考える「ヴィーガン料理」の意味
サイゼリヤ店員が選ぶ、食べたい/食べたくないメニュー。定番商品を抑えての1位は…?
サイゼリヤ飲み会がコスパ最強。一人2000円以下で実質飲み放題!?
タピオカバブル乗り遅れ組が熱視線。次は“びっくり焼き”がくる!?
「昼夜を問わず現場へ」34歳の元テレビマンがYouTubeの世界で挑戦。“テレビでは取り上げられない部分”を意識して
タイに移住した日本人が明かす「生活費は月5万バーツ(約23万円)」のリアル。現地でカフェ経営に失敗しても…
タイに移住した36歳男性が明かす、“食費だけで10万円近い”リアルな生活費「屋台飯はあまり食べなくなった」
タイに移住、ギャル男から経営者へ。36歳男性が明かす“バンコクで働くこと”のリアル「ギリギリの生活をして本当に幸せなのか」
タイ人の観光客が“北海道”を好んで訪れるワケ「その美しさに言葉が出ませんでした」
「和食中心の日本人」には欧米のダイエット法は不要
「高血圧の人は味噌汁を飲んじゃだめ」という説は本当に正しいのか?
靴にコンドームを被せて防水対策…日本製品は海外で意外な使われ方をしている
「家庭の和食」は全然ヘルシーじゃなかった!?
和食が世界無形文化遺産なのに、なぜ箸を正しく使える人は少ないのか【コラムニスト・木村和久】
この記者は、他にもこんな記事を書いています