エコカーはハイブリッドや電気自動車だけじゃない!!
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
日本人はエコカーというものを大変に誤解している。多くの日本人がエコカーと聞いて思い浮かべる単語は、「プリウス」と「電気自動車」しかないが、どちらも値段がちょっと高い。そのせいで、エコカーとは値段が高いものだと思っているのだ。実際には、値段が高けりゃ生産段階で多くのエネルギーを食っちまってるので、そのぶんエコじゃなくなるんだが。
もう一つの誤解は、都会人に限ってだが、「軽は安くてペナペナな貧乏エコカー」だと思い込んでいること。実は現在売れている軽は、デカくてゴーカなのが中心なので、値段は高いし燃費も意外と悪い。軽の販売台数で2位を争うダイハツ・タントなんざ、車内で託児所が開業できそうなほどバカ広く、一番高いグレードはなんと175万円もする。そのぶんクルマが重いから、燃費はフィットやヴィッツよりかなり落ちる。「高くて燃費が悪いのに、優遇税制受けてていいのか」と言われるのも一理あろう。
しかし今度ダイハツが出した新型軽「ミライース」は、ひたすら節約に徹した作りで、強烈に燃費がいい。10.15モード燃費で比較すると、タントカスタムRSがリッター18.2kmなのに対して、ミライースは倍近いリッター32km。この数字はプリウスのリッター38kmにも迫る。しかも値段は79万5000円から! さすがにラジオも集中ドアロックもついてない激安グレードだが、フツーに装備がついた売れ筋モデルでも99万5000円。プリウスの半額以下だ。安くて軽くて燃費がいいんだから、生産から廃車までトータルは、極めてエネルギー消費量が少ない。まさに究極のエコロジー&エコノミー。これこそ、理想のエコカーの姿だ!
で、実物はというと、もっとペナペナで安物感満点かと思ったら、そうでもない。見た目も走りも平々凡々だが、それはつまり合格点ということ。サンダルがわりと割り切ればまったく問題ない。
で、実際の燃費はどうなのか? 次回は恒例の燃費対決で検証してみたいと思う
⇒「検証!“第3のエコカー”ミライースの燃費は本当に良いのか?」に続く
https://nikkan-spa.jp/74602
MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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