古来の「食べ合わせタブー」に科学的根拠なし…天ぷらとスイカ、うなぎと梅干しetc.
◆それって、やっても大丈夫だったの? その真偽とはいかに……
世間にはさまざまな「やってはいけない」が広まっているが、中には真偽が疑わしいものも。医師で医療ジャーナリストの森田豊氏に、「定説とは逆に実はやっても大丈夫な食べ方、食べ合わせ」を聞いた。
「たとえば天ぷらとすいかは、貝原益軒の『養生訓』の食べ物の食べ合わせの良し悪しの発想をもとに考えられたものですが、医学的根拠のない迷信です。油の多い食品と、水分の多いすいかを一緒に食べると、胃液が薄まり、消化不良を起こすと言われてきましたが、机上の空論のようです。また、うなぎと梅干しの食べ合わせが悪いという話も、医学的根拠はありません。胃酸を分泌させ、食欲を増進させる梅干しを食べると、高価なうなぎをたくさん食べてしまうため、その贅沢を戒めるために広まった……という説もあります」
また「焦げを食べるとがんになる」というのもよく聞く話だが、これも少し注釈が必要だ。
「魚や肉の動物性タンパク質が、焼かれることで発がん性物質を作り出すのは事実です。ただ、体重60kgの人が毎日1t以上焦げを食べないと、がんにはならないともいわれています(笑)。昭和51年に大手新聞が、『焼き魚の焦げに発がん性の疑いがある』というニュースを報じたことで、広まった情報のようですね。焼き魚と漬物、ベーコンとほうれん草などの組み合わせも、理論上では発がん性物質が生まれますが、実際の発がんに及ぼす量まで食べることはありえないといえるでしょう」
にんじん+大根、トマト+きゅうりなどの組み合わせも、にんじんやきゅうりに含まれる酵素が、ビタミンCを破壊するといわれてきたが、「最近の研究ではさほど壊れないことがわかってきた」そう。
「この例のように、科学的根拠のないまま引用、孫引きされ、一般向けの参考書に残り、インターネットが普及したことなどから、間違ったまま広まってしまう説も実は多くあるんですよ」
【森田豊氏】
さまざまなメディアで医学常識の真偽を検証する医師、医療ジャーナリスト。著書に『「病院に行くほどではない」と放っておくと大変なことになる!』など
取材・文/古澤誠一郎 田幸和歌子 鼠入昌史(Office Ti+) 安田はつね(本誌) イラスト/ミラクル沼尾
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