「隠れインフル」に注意!専門家が教えるインフルエンザ対策の基本
温暖化の影響か、例年になく流行入りが遅かった今季のインフルエンザだが、ついに警報レベルを突破し、本格的な流行期に突入した模様である。もはや、ある種の“冬の風物詩”として認識されつつある、このインフルエンザの大流行だが、見た目だけでは絶対にわからないインフルエンザ患者、通称「隠れインフル」が現在、急増している。
なぜ増えるのか? どうしたら防げるのか? こうした疑問をインフルエンザ対策の専門家に聞いてみた。
「最近の一つの傾向として、自身がインフルエンザであると自覚していない患者が増えてきているんです。自覚がないから、何の対処もしていない。マスクもしない。すると、外から見ても見分けがつかず、結果としてパンデミックの原因になってしまう、というパターンですね。そういった患者をまとめて“隠れインフル”と呼んでいます」とは、内科医の金子俊之氏だ。
インフルエンザは一度罹患すると“解熱してから48時間かつ発症してから5日経過しないと外に出てはいけない”という明確なガイドラインが存在する。それだけ、強い感染力を持っているということだ。
「隠れインフルになる原因はいくつかあると考えています。たとえば老人の場合。歳をとるにつれ、免疫力は落ちていきます。すると、インフルエンザの症状で一番わかりやすい“高熱”が出にくくなってしまうのです。まあ、症状が軽いので悪いことばかりではないのですが。結果として、自身が罹患した自覚をもてず、隠れインフルとなってしまうんですね」(同)
聞けば、“熱はないんだけど、ちょっと調子が悪い”レベルで来院して、調べてみたらインフルエンザだった、みたいな老人がゴロゴロいるそうだ。
「それと、若い人で鎮痛剤を常用している人も、高熱が出にくくなることがあるので、隠れインフルになる可能性があります。さらに、もう一つ。インフルエンザワクチンを接種した人。もちろん、そういった予防を自主的にすることは素晴らしいことなのですが、予防接種をするとインフルエンザの症状が軽く済んでしまい、罹患した自覚を持たないまま過ごしてしまう可能性がありますね」
ここまでくると“行くも地獄、退くも地獄”みたいな様相を呈しているが、果たして対処法はあるのだろうか?
「はっきり言って、他人がインフルエンザに罹っているかどうかを見分けるのは不可能です。我々でも、見た目だけでインフルエンザ患者かどうかを判断するのは無理です。ですので、まず“街中には隠れインフルがいる”というのを大前提としていただき、ご自身がインフルエンザにかからないための対処法、予防法についてお考えください」
見分けるのが無理なのが「隠れインフル」。とにかく予防に徹するしかない。
「予防法としてオススメするのは、まずは定番の『マスク』ですね。といっても、市販のマスクにウイルスをブロックする機能はあまり期待できません。それよりも、気管支の湿度を上げることで繊毛の動きを活発にし、ウイルスを体外に排出しやすくする、という機能に注目してください。これは、どんなマスクでもそれなりに期待できる機能なので、安物のマスクで構わないと思います。ただ、できれば半日くらいで交換するようにしてください」
なお、水分補給をしても食道の湿度が上がるだけで、気管支の湿度は変わらないので要注意とのこと。
「それと、ヨーグルトの摂取もオススメです。個人的にはR-1ヨーグルトをオススメしていますね。免疫力を上げてくれるというエビデンスがあるので(下記グラフ参照)。娘にも毎日、食べさせています。一度、ウイルスが体内に入ってしまうと、そこから先は免疫力しか頼れるものがないんですね。ですので、免疫力を日頃から上げておくのは、インフルエンザ対策としてとっても重要なんです」
売り場に行くと数多くの機能性ヨーグルトが売られているが、“どの乳酸菌を摂っても一緒”というわけではないので要注意だ。
「もう1つ、もっとシンプルな予防法を教えます。きちんと、お風呂に入ってください。清潔にしろ、というわけではなく、体温を上げるためですね。ウイルスが体内に入ると熱が出ます。これは、熱を発することで体内のウイルスを駆除するためなんですね。ですので、この状況をお風呂に入ることで疑似的に再現するんです。ただし、すでに熱が出ている場合はやめてください。その熱の温度が、ウイルスを駆除するために必要な温度なので、それ以上は必要ありません」
どこにいるかわからない「隠れインフレ」は、マスク、ヨーグルト、風呂で対策するしかないのだ。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
急増する「隠れインフル」の原因は何?
やはりマスクは重要なアイテムだった!
機能性ヨーグルト&入浴で体内のウイルスを駆除!
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