団地は日本の“庶民遺産”。災害から人々を守る役割も
文化・自然など、地球の生成と人類の歴史によって生み出され、引き継がれてきた人類共通の遺産、ユネスコ世界遺産。日本でも和紙、和食、富岡製糸場などさまざまあれど、それ以外にも“俺”が声高らかにしたいオレスコ世界遺産はこんなにあった!
◆団地がトランスフォーマー!? 日本の庶民遺産<団地>
最近は鑑賞対象としても人気の団地。その第一人者の大山顕氏は、「懐かしがって終わりにせずに、現役の団地の見た目の“楽しさ”に気づいてほしい」と語る。
「商品としてキレイな見た目に仕上げられるマンションとは違い、住宅供給の必要に迫られて建設され、コンクリの表面を直接塗装している団地には、素朴な愛らしさがあります。でもオシャレをしようと奇抜な色で塗っちゃう感じとか、お母さんの口紅をこっそり使う小学生みたいでかわいいんです」
また“インフラっぽさ”も団地の魅力の一つだそうだ。
「エレベータータワーや中間水槽がポコッと出ていたり、雨水管が丸見えになってたりと、マンションでは隠されているものが隠されていないのも団地の特徴。インフラ性の高さゆえに匿名性も高いので、名建築家の建築のようには語られてこなかった面もあります」
そんな団地のインフラっぽさが際立つ3棟を大山氏が選出!
「1つ目は都営白鬚東アパート。隅田川沿いに1km以上にわたって立つこの団地は、付近が大火災になった際は、全ベランダにシャッターが下りて団地全体が防火壁にトランスフォームするんです」
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=780653
さらに波や音を防ぐ団地もある。
「川口芝園団地は鉄道の目の前に立ちはだかり、背後の住宅を騒音から守る“防音壁”団地。また軍艦島の集合住宅は、防波堤の役割を果たしています。この体を張って人々を守る感じ、健気で抱きしめたくなりませんか? 抱きしめるにはデカすぎますけど(笑)」
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【識者:大山 顕氏】
写真家、ライター。団地、工場、ジャンクションなどを扱った著書を多く持ち、主著は『団地の見究』『工場萌え』『団地団 ~ベランダから見渡す映画論~』(共著)など
撮影/大山 顕
― 俺の中では重要文化財 オレスコ世界遺産【2】 ―
『団地の見究』 あなた好みの団地がきっとみつかる |
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