赤ちゃんから自動車まで「IoT機器」で変わる日常生活
―[IoTってそういうことだったのか]―
IoT(=Internet of Things)。「モノのインターネット」と訳されるバズワードで、2014年頃からよく使われるようになった。かつてよく耳にしたユビキタスとは違うのか? デジタル系ジャーナリストの西田宗千佳氏が家電見本市「CES2015」などで見つけた気になる最新IoTガジェットを紹介しつつ、IoTの可能性を探っていこう。
◆赤ちゃんも安心 24時間見守るシール型体温・心拍計<ヘルスケア>
日常生活のなかでも健康に関する情報は重要だ。
「CESで発表された、シール型の体温計『TempTraq』は象徴的な製品でした。薄いシールにはバッテリーと通信モジュール(Bluetooth)が内蔵されていて、風邪気味の乳幼児の体温をスマホで24時間しっかりと見守ることができます。薄いシールなので、体温を測るときの苦労も解消され、安心して使うことができます」
シール表面を押すだけで使い始められる点も魅力です。
「ランナー向けに心拍数を測定するシールなども魅力的です」
◆趣味の領域だからこそ極めたい人向けに続々と登場<スポーツ>
「テニスやゴルフなど、趣味の領域のスポーツ関連ガジェットは多数登場しています。加速度センサーなどでラケットの動きに関する情報をスマホに転送し、フォーム改善に役立てる機能などが人気です。今までは『ぐっとためて、腰を入れてバーン!』と感覚的にしか説明できなかったものも、見える化、数値化することで、技術を向上できるようになりました」
さらに、スマホから情報を見るだけでなく、センサーで得た情報を自律的に活用する機器も登場。
「ソニーが発表した『スマートビートレーナー』は、心拍計やGPSを搭載した音楽プレーヤー内蔵ヘッドフォンです。心拍数に合わせて目標ペースに合ったBPMの曲を自動的に選曲してくれるほか、ペース指導などのコーチング機能も備えています」
発売中のソニー「スマートテニスセンサー」が約2万円。スポーツ好きなら試してみたくなる価格帯で、今後もワクワクする新製品が登場しそうだ。
◆一番大きいIoT機器 自動運転の未来も接近 期待は大きい<自動車>
「自動車は一番大きな動くIoT機器です。現代の自動車はコンピュータ制御されている部分が多く、車体にはさまざまなセンサーが搭載されています。1車両が得た情報を集約して、道路の混雑状況などを正確にリアルタイムに把握することができるほか、研究段階ですが、車と車の通信も注目されています。事故を検知した車両の後続車に情報を次々と共有していき、後続車のカーナビは、ルートを自動的に変更。人は何もしなくても快適を得られる。こういった方向性が他分野でも注目されていくでしょう」
【西田宗千佳氏】
ジャーナリスト。PCから家電までデジタル機器全般について、取材・解説記事を新聞・雑誌・ウェブ媒体などに寄稿
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