スポーツ

これぞ東京五輪の穴場競技!予習不可欠、庶民には難解。ノーブルすぎる「馬術」の世界

~今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪 第4回~

フモフモ編集長と申します。僕は普段、スポーツ観戦記をつづった「スポーツ見るもの語る者~フモフモコラム」というブログを運営しているスポーツ好きブロガーです。2012年のロンドン五輪の際には『自由すぎるオリンピック観戦術』なる著書を刊行するなど、知っている人は知っている(※知らない人は知らない)存在です。今回は日刊SPA!にお邪魔しまして、新たなスポーツ観戦の旅に出ることにしました。

 前回の探訪では謎の競技「ライフル射撃」を観戦し、その厳しすぎる観戦環境におののいた物見遊山一行。今回は一転して都内の近場を選択。ノーブルな世田谷の一角にありながら、どの駅からも遠い陸の孤島・馬事公苑へ。五輪でやっているのは知っているけれど、実際問題どういうものなんだかよくわからない競技「馬術」の観戦のため、ホーストライアルシリーズなる競技会へ向かいます。

 馬事公苑は前回の東京五輪の会場ともなった由緒正しき施設。2020年の東京五輪でも改修のうえで馬術競技の会場となる予定です。馬関連ということで当たり前と言えば当たり前かもしれませんが、コチラを創設・開苑したのは今はなき日本競馬会で、現在は日本中央競馬会(JRA)が施設の管理を行なっているとのこと。競馬を運営する団体が、馬事全般の普及という大きな視点で馬術関連の施設運営にも携わっているんですね。

⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=862458

ノーブルすぎる「馬術」の世界

競馬場で見慣れたJRAのロゴが踊る看板

「じゃあいっそオリンピックで競馬を」とノドから言葉が出掛かりますが、それではあまりに馬術軽視というもの。「競馬には1レースで20万人くらい集まるじゃないですか!」「めっちゃ金動くじゃないですか!」「ディープインパクトと武豊はみんな知っているけれど、法華津さんの馬の名前はよくわかりません」などの言葉は一旦すべて飲み込みます。きっと馬術にも、馬術としての面白さがあるはずですから。

ノーブルすぎる「馬術」の世界

美しい生垣がJRAを主張してくる

◆観戦眼が問われる馬術の奥深い世界

 そもそも馬術というと何を想像するでしょう。やっぱり、棒を跳び越える障害物競走でしょうか。もちろんそれは馬術の一部なのですが、五輪で実施される馬術の種目はそれだけではありません。大きく分けて五輪の馬術種目は3つ、「馬場馬術」「障害馬術」「総合馬術」です。

 ドレッサージュとも呼ばれる馬場馬術は、馬をいかに正しく美しく動作させるかという種目。名前の響きだけだとバババババンと荒くれていそうですが、むしろチョコマカとおとなしく馬が走ります。ロンドン五輪で、ご高齢により話題となった法華津寛さんが出場したのも、この種目です。

 馬場馬術は、定められた構成を忠実に再現する規定演技と、音楽に合わせて自由に演技する自由演技の二段階によって競われます。競技者は燕尾服などの正装をまとい、優美な調べに乗せて馬がピョコピョコ走り、その人馬一体の美しさが見所となります。まるでスキップでもしているかのように軽快にピョコピョコする馬の動きは、競馬場では絶対に見られない類のものです。

 ほかの競技で言えば、ちょうどフィギュアスケートのようなイメージになるかもしれません。規定+フリーの二段階勝負というところもそうですし、速い・強いだけではなく「美しさ」が問われる点もそう。ただし、4回転ジャンプのようなわかりやすい勝敗決着ポイントはないので、ある程度何をやっているのか勉強してからでないと意味がわからないかもしれません。どのピョコピョコが見事で、どのピョコピョコがよろしくないのか、それが見極められる上級者向け種目と言えるでしょう。

 障害馬術は、フィギュアスケートのジャンプだけを抜き出したかのような種目。いわゆる「棒を跳び越えるアレ」です。五輪の場合は、定められたコースに沿って棒を跳び越えていき、棒を落としたり、馬が障害物を怖がったり、規定のタイムより走るのが遅かったりすると減点されていきます。駆け抜けるのが早いことに対して特段のメリットはなく、とにかく棒を落とさないことが最優先。ハイレベルな戦いでは棒を1本も落とさないということも頻繁にあるので、ノーミス大前提、ワンミス即敗北というピリピリした種目です。

ノーブルすぎる「馬術」の世界

よく見る感じのは「障害馬術」

 総合馬術は、上記2種目に加え、生垣や水濠などの障害物がある長距離コースを駆け抜ける「クロスカントリー」を加えた3種目総合での戦い。馬場馬術でどれぐらい調教ができているのかを見て、クロスカントリーでどれぐらい耐久力があるのかを見て、障害馬術で余力がどれぐらい残っているのかを見るという、まさに人馬の総合力を競う種目です。

ノーブルすぎる「馬術」の世界

障害の高さは最大で160cmにも及ぶものの、この日の設定は低め

 今回観に行った競技会は総合馬術の大会。馬場馬術の競技は前日に終わってしまっていたため、この日は障害馬術とクロスカントリーが行なわれていました。まずはやっぱり「棒」が見たいということで、障害馬術の会場へ。ライフル射撃とは異なり、パラパラと観客の姿も見受けられます。芝生にゴザを広げ、家族でゴザに座り、お弁当を広げる……って、これは観客なのだろうか? ひょっとしたらピクニックかもしれない。若干の不安がよぎります。

 もしピクニックのために来ているなら、馬だらけの状況は“匂い”問題的にも“埃立ち込め”問題的にも、若干難アリだったかもしれません。ていうか、ここで五輪出場選手を含んだメンバーが競技会をやっているのに、馬事公苑そばの路面で行なわれていた地域のお祭りのほうが断然盛り上がっています。この試合、入場無料なのでフラッと見ても大丈夫なのですが。「やっぱり五輪では競馬を……」という言葉、再びノドまで上がってきます。

⇒『生観戦で気づいた馬術の本当の楽しみ方とは?』に続く https://nikkan-spa.jp/862476

自由すぎるオリンピック観戦術

スポーツイベントがあるごとに、世間をアッと言わせるコラムを書き続ける、スポーツ観戦ブログ『フモフモコラム』の中のひとによるオリンピック観戦本





おすすめ記事