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簡易宿泊所火災で悩む経営者たちの声「工事するカネがない」

 5月17日未明、川崎市川崎区日進町にある簡易宿泊所の1階から燃え上がった炎は、隣接する1棟も呑み込み、延べ床面積1000㎡が全焼。居住していた74人のうち10人の生命を奪う大惨事となってしまった。

 事件があった場所は、川崎駅から徒歩15分ほど。簡易宿泊所が30軒ほど集まるエリアだ。焼けたドヤの元住人だったという老人が、その様子を教えてくれた。

簡易宿泊所火災で悩む経営者たちの声「工事するカネがない」「ベニヤ板でできたようなドヤ(簡易宿泊所のこと)だから、火がついたら大変だよなぁ~なんて話はみんなでしてたんだよ。今まで燃えなかったのは運がよかったくらい。ここらのドヤは違法建築だらけだけど、役所は黙認してたの。ドヤがなくなったら日雇いの連中は行く場所なくなっちゃうから」

 消防関係者によれば、日進町の簡易宿泊所は実に7割が違法建築だという。2階建ての宿泊施設として申請を出しておきながら3階部分を造り、客を泊めるのが最も多いパターンだ。事態を重く見た川崎市は今月2日、法令違反の疑いのある経営者などを集め、3階部分の使用停止を要求した。しかし、これはあくまでも要請であり、法的拘束力はない。とある簡易宿泊所の経営者は語る。

「ウチも消防署のチェックが入って違法だと言われました。3階部分に非常階段を作ればいいとか、いろいろ言われてるんですが、そもそもそんな工事をやるお金なんて工面できませんよ。違法建築部分の使用が禁止になったら、宿泊者だって困るんじゃないですか。今泊まっている人の多くは生活保護で生活している老人ですから」

 半ば逆ギレのようにも聞こえるのだが、そもそも違法建築であることを認識しつつも人を泊めて命を預かる行為を続けていたことは、社会通念上許されるものではない。川崎市も、これを機にドヤの住民に転居を促しているという。

「区の人間が、ドヤの住人に『今回の火事を機会に普通のアパートに住まないか?』と声を掛けているんですよ。住人の中には、真に受けて引っ越してしまう人もいます。こちらにしてみたらふんだり蹴ったりですよ」

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<取材・文/週刊SPA!編集部>

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