雑学

敷金、礼金が払えない…貧困層が暮らす“新たなドヤ街”が都心に出現している

 労働者に日雇いの仕事を斡旋する「寄せ場」、日雇い労働者のための簡易宿泊施設が立ち並ぶ「ドヤ街」。過去の遺物のように思われがちなこれら地域だが、今も姿を変え脈々と残り続けているという。

「現在は日雇い労働もネットでマッチングする時代です。かつての寄せ場がネットの中に移ったことで、労働者たちもドヤ街のような特定の地域に集まる必要がなくなりました。とはいえ、定住する家を持てない貧困層そのものがいなくなったわけではなく、現在でも都心の格安ゲストハウスやネットカフェを転々としながら生活する貧困層は少なくありません」

 そう語るのはNPO法人「もやい」の大西連氏。10年前に「ネットカフェ難民」という言葉が流行したが、現在はネットカフェのみならず料金を極端に抑えたゲストハウス、シェアハウスを拠点にするケースが急増しているのだとか。

「傾向として、彼らは労働現場までの交通コストが抑えられる都心部やターミナル駅付近に集まりやすい。そのため、新宿や池袋、上野などの都心まで徒歩圏内のエリアにはゲストハウスやシェアハウスが数多く誕生しています。なかには個人が借りた部屋に仕切りを設け、民泊と同じ要領で貧困層向けゲストハウスを運営している脱法的な例も。シェアハウスといっても、1人あたり3畳ほどしかない相部屋パターンも多いようです」

 ネットで検索すると、たしかに新宿や池袋などの都心徒歩圏内に1泊2000円程度のゲストハウス、1か月2万円~のシェアハウスが数多く存在していることがわかる。我々が取材したのは、今年4月からゲストハウスを転々とする生活を送っている明石雄二さん(仮名・26歳)だ。

“新たなドヤ街”が都心に出現している現実

2段ベッドが2つ並ぶ4人部屋。衣類や歯ブラシを詰めたボストンバッグが現在の全荷物。仕事に行く際はコインロッカーに預ける

「アルバイトとして働いていた都内の飲食店で正社員登用されたんですが、休みのない日々に疲れ今年1月に辞職。その後なかなか仕事が見つからず、家賃を滞納して結局4月に退去しました。それ以降はこうしたゲストハウスを転々としています。現在はポスティングやイベント会場設営などの単発アルバイトで月収は平均10万円ほど。履歴書不要の募集も多いので、家がなくてもやっていけてます」

 この日の彼の寝床は上野駅近辺のゲストハウス。上野は浅草に近いため、外国人観光客の利用も見込んだゲストハウスが多いという。料金は1泊2000円。いくら安いとはいえ、連日泊まるとなると単身者向け賃貸物件の家賃と大差ないほどの出費になるように思うが?

「もちろん部屋を借りたいですが、どうしても敷金、礼金などの初期費用がかかってしまいますよね。毎月ギリギリの生活なので、その資金を貯める余裕がないんです」

 全労働人口における非正規雇用の割合は4割を超えたとも言われる昨今。今後も増加が続けば、それに比例するようにこうした定住できる家をもたない低所得者層が集まる“新たなドヤ街”が都心を取り巻くように増え続けていく可能性は高いだろう。 〈取材・文/週刊SPA!編集部〉





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