月収13万、ネットカフェに寝泊りする日雇い労働者・30歳「こんな生活続けたくない…」
これまであらゆる形態の貧困問題を見てきたSPA!だが、今回は貧困を生む“街”の構造を解き明かすべく取材を敢行。なぜ特定の街で貧困が生まれるのか? そこから脱することは可能なのか? 住民の声とともに見ていきたい。
労働者に日雇いの仕事を斡旋する「寄せ場」、日雇い労働者のための簡易宿泊施設が立ち並ぶ「ドヤ街」。過去の遺物のように思われがちなこれら地域だが、今も形を変えつつ残り続けているという。
新宿駅近辺のネットカフェで出会ったのは田島明さん(仮名・30歳)。彼もすでに3か月以上家のない生活を続けている。
「友人とルームシェアをして家賃を折半していたのですが、彼が地元へ帰りひとり暮らしに。家賃の負担ができず、退去して新宿駅徒歩15分で月3万円のシェアハウスに転がり込みました。共用スペース以外はカプセルホテルの一室に近い寝床があるのみ。ただ、ほかの住民から嫌がらせを受けるようになり、2か月で退去。それ以降はネットカフェ生活です。仕事はずっと食品倉庫で働いています。同僚や上司には、家がないことがバレてないと思うんですが……。親を頼ろうにも、母が病気の自宅療養中で僕どころではありません」
仕事が終わるのは20時頃。その後、ナイトパックが適用される22~23時まで公園などで時間を潰し、今夜の寝床に入る。
「シェアハウス時代、自分の置かれた状況や寂しさで発狂しそうになっていましたが、今はこの生活にも慣れました。いつまでもこんな生活を続けたくないけど……少しずつ貯金するしかないですね」
田島さんの月収は約13万円。そこから日々の宿泊費や通信費、生活費を差し引くと手元には毎月1万円が残るかどうかだという。NPO法人・もやい理事長の大西 連氏はこう語る。
「住まいを借りられるよう保証人になったり大家と交渉するなどの支援を我々も行っているのですが、こうした貧困は目に見えづらく、こちら側から積極的にサポートの声をかけにくいのが現状なんです」
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1374051
全労働人口における非正規雇用の割合は4割を超えたともいわれる昨今。今後も増加が続けば、それに比例するように“新たなドヤ街”が都心を取り巻くように増え続けていく可能性は高いだろう。
【大西 連氏】
もやい理事長。社会活動家。NPO法人「自立生活サポートセンターもやい」の理事長を務め、生活困窮者への支援のほか現場の声の発信に注力する
― [新型貧困を生む街]潜入ルポ ―
“新たなドヤ街”が都心の外縁部に出現


【関連キーワードから記事を探す】
月収13万、ネットカフェに寝泊りする日雇い労働者・30歳「こんな生活続けたくない…」
敷金、礼金が払えない…貧困層が暮らす“新たなドヤ街”が都心に出現している
一泊1700円の簡易宿泊所“ジブリハウス”に泊まってみた
簡易宿泊所火災で悩む経営者たちの声「工事するカネがない」
月収10万円以下に激減した非正規40代。ネットカフェは贅沢、ベンチで夜を過ごす
ネットカフェのセクハラ客に悩む女性店員たち「監視カメラの死角で…」
ネットカフェに出没するクレーマーの実態「相手を見た目で選んでる」
ネットカフェ難民の40代、タクシー会社の元正社員がAV男優になった悲劇
ネットカフェ難民からゲストハウス生活へ…日雇い男の若き日の夢
「路上で石を売っていた」元芸人が、100人のホームレスを取材するまで
某著名人の家を追い出され、ホームレスになった元格闘家。ネットカフェや路上で寝る毎日
歌舞伎町の路上で暮らす27歳女性。YouTubeで有名になったが、稼ぎは「全部溶けちゃう」
DV家族に家を追い出され、精神疾患のため仕事にも就けない…ホームレス生活を送る27歳女性の思い
ネットカフェに寝泊まりする40代フリーター。お金も家もないが「生活には困らない」わけ
値上げの本番は夏以降。出口の見えない修羅場が多くの世帯を苦しめる
手取り年金16万円の74歳、子供への仕送り4万円。相次ぐ値上げに不安の日々
炊き出しに並ぶ人々。ホームレスは少数派、タワマン在住も…貧困転落の防波堤
年収300万円の男性44歳、インフレ貧困に転落しそう。カードローン3万円が返済できない
手取り21万円で毎月5万円以上も貯蓄する40歳女性、賢い節約のヒミツ
月収10万円以下に激減した非正規40代。ネットカフェは贅沢、ベンチで夜を過ごす
日雇い労働者の街「大阪・西成」からシンボルが消えた日
日雇い労働者たちのクリスマスに密着「時給の高い仕事がサンタからのプレゼント」
26歳の若者が見たドヤ街・西成…筑波大学卒業後、就職できず無職に
ホームレスの生活に密着…お金がなくても生きる術とは?
月収13万、ネットカフェに寝泊りする日雇い労働者・30歳「こんな生活続けたくない…」
なぜ特定の街で貧困が生まれるのか? “駅から徒歩7分以内か否か”で二極化する実態
愛知県の「外国人労働者が住むヤバい団地」の実態。3年間住み続け、潜入撮影
セレブの子供は“変なグレ方”をする!? 高級住宅街の民度が下がっている理由
4回の逮捕で10年以上を獄中で過ごした53歳女性の出所後。生活保護を受給しながら約7年間のネットカフェ生活“グレーな状態”から抜け出すまで
6年間ネットカフェで生活する41歳男性、妻子アリ会社員なのに「家に帰れない」ワケ
月収30万円以上なのに、3年間ネットカフェを転々とし続ける58歳男性。風呂にも半年入らず…“ゴミ屋敷”さながらの部屋で生活する理由
腐った食べ物の臭い、汚いトイレ……ネットカフェ難民の心身をむしばむ酷い“住環境”
ネカフェに住み、30分7000円の売春で生きる33歳女性。それでも実家には帰れないワケ