新国立競技場は「エアコンなし」で本当にいいのか?【コラムニスト・木村和久】
―[木村和久の「オヤ充のススメ」]―
― 木村和久の「オヤ充のススメ」その86 ―
東京オリンピック2020の話題は、尽きることないですね。無くなったら、こっちからいい話を出しますから、皆さん飽きずに付き合って下さいね。
白紙撤回になった、エンブレム問題も書きたいですが、これは少し熟成させて、まずは新国立競技場問題です。一件落着になったかに見えた、新国立競技場の建設問題ですが、1550億円という低い予算で無理やり収めたのは、約90億円のエアコン代をケチったからという話です。しかも、猛暑で大変だろうと言うや、首相は甲子園の野球を例に出して、「あそこも頑張ってんるんだから、カチワリでも食べて、乗り切りましょう」と来たもんだ。
オリンピックと甲子園を一緒にしちゃまずいでしょう。甲子園は毎年、暑いのが分かってて来ているんだから。むしろ暑さが、売り物で風物詩。オリンピックは全く別次元です。こっちはパラリンピックもあり、体の不自由な方も沢山来られる。そもそも暑さに弱いヨーロッパやロシア、北米の方も来る。こりゃたまらんとなるケースが多いと思いますよ。設計的に見ても、甲子園の方がスタジアムだから開放性があって、暑さもカラッとしている。新国立競技場は半ドームだから、熱がこもって、蒸し風呂状態になるんじゃないですか。
日本の夏がいかに凄まじいかの例を挙げます。これは今から30年以上も前の話です。当時はヨーロッパ車のエアコンの効きが悪いのが有名で、特に北欧のくるまなんて、夏だっていうのになまぬるい風が吹いてました。そりゃそうだ、北欧じゃクーラーはさほど必要ないですからね。そういう評判を聞いた、メルセデス・ベンツが、日本のエアコンは温帯仕様で、何が問題なんだと、調査に来たことがあります。そして日本の蒸し暑さは、アスファルトの照り返しや、エアコンの外気温やくるまの排気熱などが、こもって起こるクレージーな状態だと、ようやく認識した次第。それから日本向けのくるまのエアコンは、熱帯仕様になったというお話です。今じゃ、世界の有名ブランドのクルマの試作車が、最終試験をしに日本の夏を体験しに来ています。あの首都高で1時間以上の渋滞を体験して、オーバーヒートしなければ、世界中どこに持って行っても大丈夫なんだと。
というわけで、そんな過酷な状況の東京で新国立競技場にエアコンなしはないでしょう。そこは予算オーバーでも造るべき、そもそも、エアコンがないなら、国立競技場を壊す必要あったんですか? あれを改装して半ドームにして、客席を増やせば良かっただけの話じゃないですか。
ロサンゼルスオリンピックの会場となった、メモリアルコロシアムは、1923年に作られ、1932年と1984年のオリンピックに使用されています。収容人員も7万6000人から、最高11万5300人まで増やしてるので、できないことはないんですよ。

木村和久
―[木村和久の「オヤ充のススメ」]―
トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦。著書に『50歳からのかろやか人生』
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