「沖縄の米軍基地を本土へ運動」を支持する人たちの主張
沖縄の米軍基地撤去を叫ぶ声は絶えない。だが「基地はどこにもいらない」との反対運動が逆に県民の望む「県外移設」を阻んでしまう。本土の基地反対派も沖縄に基地を押しつけているとの視点から「基地を引き取る」運動が始まった。
福岡市の里村和歌子さん(41歳)が「米軍基地を引き取る」と発言したのは昨年7月。
里村さんは’10年、広島修道大学大学院で受けた野村浩也教授の授業に衝撃を受けた。野村教授は「沖縄米軍基地の県外移設」を訴える。その根本にあるのは「74%もの米軍基地を沖縄に押しつけている本土の植民地主義」だ。
里村さんは「沖縄を語る会」という勉強会を2か月に一度開き、沖縄の問題を話し合ってきた。昨年7月には『沖縄の米軍基地「県外移設」を考える』(集英社新書)を上梓した高橋哲哉東京大学大学院教授に講演してもらい、里村さんの心に火がついた。勉強会の終わりに勇気を奮ってこう発言した。
「私は引き取り運動を始めます。集まる人はいませんか?」
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1249368
8人が賛同し、里村さんは「本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会」を設立。メンバーは現在40人を数える。だが、運動を展開するうえで厚い壁とも言えるのが「基地絶対反対」運動だという。同団体のメンバーには辺野古で基地反対運動を経験した人がいる。その仲間は「基地をなくすのが目的。引き取るとは何ごとか」と批判、同団体を去った。心療内科に通うほどに“かつての仲間”からの批判に疲れてしまった人もいる。
「運動当初、『基地はどこにもいらない』派と議論すると、やりとりは騒然としました。『我々の運動を分断するな』と……」(里村さん)
“かつての仲間”からの激しいバッシング
フリージャーナリスト。社会問題や環境問題、リニア中央新幹線、入管問題などを精力的に取材している。『悪夢の超特急 リニア中央新幹線』(旬報社)で2015年度JCJ(日本ジャーナリスト会議)賞を受賞。Twitter:@kashidahideki
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