更新日:2022年12月30日 10:44
カーライフ

開通したばかりの外環道千葉区間開通が生み出した新たな渋滞。その現実的な対策案を考える

 6月2日に開通した外環道千葉区間。さっそく大きな威力を発揮している。高谷JCT‐三郷JCT間は、これまでの首都高C2経由の43分(昼間12時間平均)が、わずか15分に。首都高も、特に都心より東側の区間で交通量が減り、大きく渋滞が減少した。  最も交通量の減少幅が大きかったのは、C2の東側区間(調査ポイント:葛西JCT‐清新町出入口間)で、17%も減少。首都高で交通量が17%減ると、渋滞は4分の1かそれ以下になると考えられる(目安)。

外環道千葉区間開通1週間後の利用状況(NEXCO東日本HPより)

 C2東側区間は恒常的な渋滞路線だったが、昨年度末に小菅―堀切間内回りの拡幅(3車線→4車線)が完成したのと併せて、劇的な渋滞緩和が達成された。首都高の放射線である川口線や6号三郷線、湾岸線も、それぞれ交通量が数%減少。首都高全体の渋滞量も、2割程度減ったと推測される。やはり、環状高速の開通効果は絶大だ。

外環道千葉区間開通が生み出した新たな渋滞とは?

 ただ、外環道千葉区間の開通によって、交通量が大きく増えてしまった路線もある。ほかならぬ外環道の既開通区間(埼玉区間)である。  湾岸線や東関東道の交通が、直接外環道に入ってくれば、これまで首都高を経由していた東北道や関越道へ向かうクルマは、当然そのまま外環道を走る。交通量が増えるのは自然な流れだ。  なかでも外環道の常磐道‐東北道の間(調査ポイント:川口東‐草加間)は、交通量が25%も増加。もともとこの区間では、かなりの頻度で断続渋滞が発生していたが、それが明らかに増している。交通量の増加幅から見ると、数倍になったと推定される。

外環道千葉区間が開通後、外環道埼玉区間の交通量は軒並み増えている(NEXCO東日本HPより)

 6月は比較的交通量が少ない時期なので、まだそれほど問題は顕在化していないが、7月下旬から8月、9月にかけては、暑さでエアコンの効いたクルマへの逃避+夏休みでレジャー需要増加+半期末という悪条件が重なり、交通量がぐっと増加する。  外環道は、開通したばかりの千葉区間はスイスイでも、それに続く埼玉区間は、非常に厳しい状況になるだろう。  加えて、現在建設中の外環道東京区間(開通時期未定)が完成すると、埼玉区間の交通量はさらに増加する。なにしろ東京区間は片側3車線。開通後は、東名や中央から迂回してくるクルマが、大挙なだれ込んでくる。そうなれば、片側2車線の外環道埼玉区間がパンクするのは目に見えている。  しかし、C2・外環道・圏央道の3環状の完成で、ネットワーク建設は終了。もはや渋滞緩和の抜本対策はない。どうすべきか。  
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外環道埼玉区間の渋滞対策。その現実的な方法は?
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中

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