コンビニの24時間営業の快適さを見直す時期にきている/鴻上尚史
― 連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史> ―
日本の町が、世界のどの町よりも便利で快適なのは、間違いなく、コンビニの存在があるからです。
ニューヨークでもロンドンでもパリでも、深夜に電池や基礎化粧品など、日用品のあれこれは買えません。
けれど、日本では、コンビニさえあれば、どんな田舎町でも手に入ります。これは、冷静に考えればすごいことです。
日本に住んでいる私達は、もう慣れてしまって当然のことだと思っていますが、日本にやって来る外国人からすると驚異的なことです。
深夜、小腹が空いたり、お酒が飲みたくなった時に、簡単に手に入る国なのです。それはパラダイスと言えるのでしょう。
欧米人がよく言うジョークで、「自分の国で働いて、日本で休暇を過ごしたいね。間違っても、逆は避けたい。日本で働いて、自分の国で休暇を過ごすのは、最悪だ」というものがあります。
自分の国は、サービス残業もないし、定時退社しても睨まれないから、快適に働ける。そして、日本で休暇を取ると、コンビニがあって便利だし、お客様は神様だから優遇されるし、最高だ。その逆で、日本で働くと、過労死の危険があるし、自分の国で休暇を取ると、サービスが足らないことが多い。
日本の便利さと快適さの象徴が、コンビニだと言えるでしょう。
そのコンビニで、24時間営業をやめたいというオーナーと、「24時間営業が原則だ」として、それを認めないフランチャイズ本部との対立がニュースになっています。
この店のオーナーは、一緒に働いていた妻が亡くなり、オーナー自身が連続16時間の勤務をせざるを得なくなりました。
アルバイトの時給を上げて募集しましたが集まりませんでした。
結果、24時間営業ではなく、深夜1時~早朝6時の間、店を閉めて、1日19時間営業にしました。
本部は、営業時間を戻さないと、チェーン店の契約解除と違約金1700万円を求めると通告しました。
「地域社会に必要な店舗として24時間営業を継続できるように」サポートすると本部は言います。
コンビニの24時間営業の快適さについて
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