マンガ『キングダム』の王騎将軍はなぜここまで人気があるのか?
―[魂が燃えるメモ/佐々木]―
いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第186回
人気マンガ『キングダム』に王騎将軍というキャラクターがいます。現在行われているキャラクター人気投票の中間発表で2位になっている人気キャラクターです。
王騎はコミックス16巻で命を落とし、物語の舞台から退場します。最新刊が57巻なのに対して、その3分の1にも満たない時点で退場しているにも関わらず人気投票で2位になるのは、それだけ読者の心に残るような魅力があることを意味しています。
王騎は主人公の信や、その相棒で国王でもある政が活躍している時代の二世代前、政の祖父である昭王に仕えていました。この時に彼が与えられていた特別なポストが「秦の六大将軍」です。大将軍には自分の判断で戦争をしてもよいという特別な権利が与えられており、王騎を含めた6人の大将軍は各地で猛威を振るい、隣国から恐れられていました。
主人公の信は天下の大将軍になることを目標としており、それを原動力として戦い続けています。一方、王騎将軍は天下の大将軍ではありませんが、秦の六大将軍でした。この大将軍という肩書きを媒介にして、信と王騎は結びついています。
信は王騎と出会う前から、大将軍になることを目指していました。しかし、ある時自分の成長に限界を感じ、「ただ剣を振っているだけでは強くなれない」と自覚します。その時に彼が必要としたのが、大将軍としての生き方、考え方、振る舞い方、つまり人物像でした。そして、それを彼に与えたのが王騎です。
人間は物事が理屈で上手くいくと考えがちです。たとえば小説家になりたいと思った時に、シナリオ作法や文章作法を学べば小説家になれると考えます。ミュージシャンになりたいと思った時に、作曲法や演奏法を学べばミュージシャンになれると考えます。経営者になりたいと思った時に、ブランディングやマーケティングを学べば経営者になれると考えます。しかし、そうした学びをいくら重ねても、「自分がなりたいものに近づいている気がしない」と悩むことは珍しくありません。
こうした理屈とは別の部分で必要になるのが人物像です。実際の小説家の言動を通して、「これが小説家なんだ」と生き方、考え方、振る舞い方を知る。実際のミュージシャンの言動を通して、「これがミュージシャンなんだ」と生き方、考え方、振る舞い方を知る。実際の経営者の言動を通して、「これが経営者なんだ」と生き方、考え方、振る舞い方を知る。こうした体験をすると、「自分もこうなるんだ」という信念的な原動力が持てるようになります。
信は王騎を通して、「大将軍としての人物像」を体験しました。この時、王騎は「こうすれば大将軍になれますよ」と座学でレクチャーしたのではありません。遺言や遺産という形で、自分の人生そのもので彼に伝えたのです。
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コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中
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