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安倍応援団の自称保守が何を喚こうが、予想通り河井夫妻は逮捕された/倉山満

安倍応援団の自称保守が何を喚こうが、予想通り河井夫妻は逮捕された

言論ストロングスタイル

17日、参院本会議場を出るあんり参院議員。説明責任を果たさないまま逮捕された二人。黙認してきた首相の責任は厳しく問われるべきだろう 写真/時事通信社

 世の中には大嘘付きがいる。無知蒙昧なネトウヨどもを相手に「朝日新聞は検察人事に介入するな!」などと絶叫して商売をしていた言論人たちだ。そういう人が保守を名乗るから大迷惑だ。  こんな大法螺、少し法務・検察の世界を知っていれば、ありえないとわかる。歴代、検事総長を目指すような検察官は、各社に“子分”を“飼って”いる。朝日も産経も、どこも関係ない。ついこの間も、産経新聞社の記者が朝日新聞の記者と一緒になって検察大幹部を麻雀賭博で接待していた。そうやって“飼”われているのだ。力関係は、検察の方が上であって、逆ではない。常に法務検察担当記者は、検察の人事抗争に使われる立場だった。  さらに言うと自称保守言論人たちは、「河井あんりは捕まるけれども、ダンナの克行前法相にまでは捜査は及ばない」などと、訳の分からないことを言いふらしていた。要するに、公職選挙法違反は嫁のあんり参議院議員がやったことであって、安倍首相側近の克行は関係ないから、安倍内閣は安泰だと言いたいらしいのである。夫婦で選挙活動をやっていて、一方だけが捕まりもう一方が助かるなど、ありえない。  では、保守を名乗る法螺吹き言論人は、なぜ非常識な嘘をつくのか。ただ一心、安倍晋三を応援するポジションを守りたいからである。彼ら彼女らにとって保守とは「安倍晋三を応援すること」である。だから「安倍さんに敵対する奴は敵」であり、事実を捻じ曲げてでも安倍信者に向けて扇動を始める。一定数の顧客がいるので、ポジショントークだけで商売としては成り立つのである。人として、言論人としてのプライドさえ捨ててしまえば。  しかし、安倍応援団の自称保守が何を喚こうが、真実は曲げられない。言論人の真価とは、誰が一貫して本当のことを言っていたかによって評価されるからだ。  国会が閉じた翌日の18日、少し社会のことを勉強した人間なら誰もが予想した通り、河井克行・あんり夫妻が逮捕された。  安倍首相は「任命責任を痛感する」と神妙に答えた。閣僚の不祥事が飛び出た時の常套句だが、この7年間、本当に責任をとったことは一度も無い。だが、昨年の消費増税と今年に入ってのコロナ騒動で、政界の様子が変わってきた。  これまで「安倍一強」だったのはなぜか? 財務省の走狗である麻生太郎副総理・財務大臣と創価学会の代理人である二階俊博幹事長が支えてきたからである。安倍・麻生・二階の三派が組めば、自民党の過半数である。だから、他の自民党の誰もかなわなかった。  ところが、最近は二階幹事長と公明党が、安倍首相と距離を置き始めている。安倍首相が、岸田文雄政調会長を後継に据えようとしているのが気に入らないらしい。二階幹事長は、無能な岸田政調会長を小馬鹿にしきっている。一方で安倍首相は、何としても自分の地位を脅かさない人物に後継を譲りたい。二階氏が嫌う要素こそ、安倍首相が岸田氏を推す理由なのだ。仮に、安倍・麻生・岸田の三派が組んでも、自民党の過半数だ。二階氏も攻め手を欠く。  つまり、現在の政界でキャスティングボートを握っているのは麻生財務大臣だ。では、その背後にいる財務省にとって、安倍首相はどのような存在か。
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大恩人とは、「扱いやすい傀儡」のことである
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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