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安倍応援団の自称保守が何を喚こうが、予想通り河井夫妻は逮捕された/倉山満

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17日、衆院本会議を終えた河井克行前法相 写真/時事通信社

財務省にとって首相は大恩人だ。そして、大恩人とは、「扱いやすい傀儡」のことである

 恩人である。2度も消費税を増税してくれた、大恩人である。財務省の隠語で「恩人」とは、「扱いやすい傀儡」のことである。かつて2度も増税を延期して盾突いたが、もはや今の安倍首相に怖いところなど何もない。財務省には、政官界の他全員を敵に回してねじ伏せ、己の権勢を誇示する性癖がある。国民の大半に呆れられ、政官界の人心が離反して、満身創痍の安倍内閣を支える。そうしておいて、本当に潰れるまでに取れるものをとっておこうと考えるのが、財務省の思考回路だ。  コロナ税、炭素税、交通税、そして消費税のさらなる引き上げ……。次々と御用学者から観測気球が上がっている。安倍内閣が生存しているうちに、次の増税への道筋をつけておきたいのだ。  ポスト安倍に向けて自民党内の動きがきな臭いが、国民不在の暗闘にすぎない。もはや安倍首相には1日でも早く辞めてもらわねばその分だけ国益を損ねるが、では代わりに誰がいるかと言うと、自民党の実力者など大同小異だ。  なぜ、こうなるのか? 自民党に代わる選択肢が無いからだ。  安倍長期政権を支える人材は、綺羅星の如く存在した。海江田万里、岡田克也、蓮舫、そして枝野幸男。多くの国民は「民主党の悪夢に戻してよいのか?」と脅されると、安倍批判を躊躇したくなる。このコロナ騒動の間も、安倍政権は数多の失策を犯したが、枝野立憲民主党代表は一歩も攻め込まなかった。なんと頼もしい味方ではないか、安倍自民党にとって。  ちなみに、立憲民主党では「減税だけは絶対に言ってはならない」と議員を締め付けているとか。増税を進める与党と、減税を言わせない野党なら、国民に選択肢が無くなるのは当たり前ではないか。しかも、これまでは旧民主党が野党第一党に居座るので、マトモな野党が伸びられなかった。  ただ、コロナ騒動で、日本維新の会の吉村洋文大阪府知事は名を上げた。そして支持率でも維新が立民を抜き始めた。大阪限定地域政党にすぎなかった維新が、都市部を中心に支持を広げ始めている。これまでの維新は与党の補完勢力のような態度が多すぎたが、吉村氏を押し立て、自民党と対決姿勢を鮮明にするなら、安倍自民党に代わる選択肢になりえるのではないか。  その試金石が東京都知事選だ。非常に極めて残念ながら、小池百合子東京都知事の再選は固いと見られている。だが、2位争いはどうか。立民が推す共産党の宇都宮健児氏、枝野氏が蛇蝎の如く嫌う山本太郎氏、そして維新が推す小野泰輔氏。  常識で考えれば、固い組織票を持つ宇都宮氏が2位だろう。だが、リベラル票は山本氏と割れる。維新が2位になるのは常識では難しいが、宇都宮氏が3位に転落したら、立民の凋落は決定的だ。  当選結果が決まりきった選挙でも、適切に影響力を行使する方法はある。  都民は知恵の使いどころだ。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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