毎年恒例であるらしい、大手アダルトビデオメーカー・SOD(ソフト・オン・デマンド)が主催する「SOD大賞」の発表&表彰式が12月13日に行われた。今回は、SOD設立18周年にちなんだ「~R-18から大人への船出~」ってことで、なんと会場が、船!! ジャケット着用を義務づけられた、いろんな意味で場違い感が否めないセレブなセレモニーを、クローゼットの奥から引っ張り出してきたジーンズ生地のジャケットとヴィトンのサングラスで完全武装をキメたゴメス記者が渾身ルポする!
ちなみにSODさんとは、当時代表取締役だった高橋がなり氏が『マネーの虎』あたりでぶいぶい言わせていた15年以上前、何度か仕事をしたことがある(『フェラチ王座決定戦』という作品の審査員とか)。そのころから、「アダルトビデオ特有の背徳感や予算感を打ち破ることによって、AV業界の地位を向上させる」的な姿勢をつらぬく、言い方を変えれば、とにかく金に(ある程度)糸目を付けない“派手な仕掛け”を好む会社だった。そして月日は流れ、ボクもエロ仕事からはめっきり縁遠くなり、久々のAV関係からの仕事オファー。会場に足を運んでみて、まず最初に正直浮かんだのが、「ああ、AV業界(正確にはSOD?)って、今でも景気がいいんだなあ……」といった感想だった。
いや、景気が悪いからこその“景気づけ”なのかもしれない。それはボクにはわからない。いずれにせよ、ここ数年、ボクはこんなバブリーなイベントに参加した記憶はない。
時刻は16時。集合場所である「日の出ふ頭」に到着すると、豪華客船の前にはレッドカーペット! まわりには黒人の黒スーツで身を固めたセキュリティーもいたりして、そこにリムジンで乗り付けたAV女優たちが煌びやかなドレス姿(ヘアメイクと衣装は『小悪魔ageha』とのコラボレーションであるらしい)で颯爽と降りてくる。簡単な撮影会が終わったあと、彼女たちほか総数500人以上のプレスや関係者が、客船・シンフォニー号にいそいそと乗り込んでいく。
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なぜか黒人SPがスタンバイ
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レッドカーペットの上で記念撮影
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次々とトップ女優たちが姿を現す
「撮影スペースが狭いのでプレス関係者で表彰式会場に入れるのは各社カメラマン一人のみ」ということで、日刊SPA!からは同行していた編集者・スパムがそっちへ回り、ボクは船内をパトロールしながら、表彰式の様子はあちこちに設置されているモニターでチェックすることに。
すると、長年エロ仕事から離れていたとはいえ、知人らしき人間もちらほら発見。「おお、ゴメちゃん久しぶり!」と声をかけられる。大手の出版社でグラビアなどを手がけている週刊誌の編集者だ。いつもひょうひょうと水面下で怪しく動きまわりながら、ややこしい案件を取りまとめ誌面をにぎわす、そんな寝業師である。よく仕事をしていたころは、まだぺーぺーだったけれど、今はそこそこ偉くなっているに違いない。パリッとしたスーツを完ぺきに着こなしてはいるが、商社や外資系金融で働くビジネスマンとはどこかフィーリングが異なる男2人を従え、ボクを手招きする。
「ゴメちゃん、紹介するよ。この人たち、この世界ではすごーい大物だから!」
この世界って、どの世界……? はじめして、と慇懃に名刺を差し出される。聞いたことのない名前の会社の代表取締役と取締役、と肩書きにある。
「○○○(←今回の女優賞にノミネートされているAV女優の一人の名前)をよろしくおねがいします!」
などと爽やかに懇願されたので、たぶん芸能、もしくはAVプロダクションの人たちなんだろう。お願いされても、なにをどうお願いされてよいのかわからない。ひたすらその彼女を応援すればよいのだろうか。今イチ話がはずまないので、それではまたあとで、と移動して、すでに始まっている表彰式のもようを流すモニターに注目してみる。
司会進行は竹内力(右)と中嶋美和子(左)という豪華な顔ぶれ
司会を務めるのはオフィス北野所属のフリーアナウンサー・中嶋美和子で、プレゼンターはなんと、あの竹内力! もはや一般メディアとエロメディアとの垣根が取っ払われている時代なのか、コンプレックスの裏返しなのか、いずれにせよ気合いの入ったキャスティングだ。
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ちなみに、僕的に今回の受賞式でもっとも”そそった”のは、司会の中嶋美和子が、作品賞の発表の際に、「実家に帰省したワケあり妻〜」などと、次々出てくるエロいノミネート作品タイトルを精いっぱい毅然とした態度を装いながら読み上げていたシーンだった。
そんな僕をよそに授賞式は続く。優秀な作品や監督(全員、思いのほか若く、Keita☆No1だとか西中島南方だとか、聞いたこともない顔ぶれ。この世界も世代交代が速やかに行われているみたいだ)を称える賞が発表され、いよいよ本日のメインイベントである最優秀女優賞の時間となった。
ノミネートされた、優秀賞がすでに決定している10人の女優が一人ひとり、壇上に登場する。竹内力のテンションが芝居じみて上がりはじめ、場内がお約束のようにざわつきだす。
最優秀女優に選ばれた紗倉まなさん
みごと最優秀女優賞の栄光に輝いたのは、2012年に(SOD内で)1位の売り上げを稼いだという紗倉まなさん。そして最後に、「場を問わずアダルト業界に今年もっとも貢献したもの」を対象とする「SOD大賞」を、なんとあの「TENGA」が受賞! 松本光一社長が感動のスピーチを披露し、授賞式は幕を閉じた。
で、こっから始まるレセプションパーティがボクら日刊SPA!取材班にとってのホンバンだ。パーティ会場を練り歩くAV女優たちをピンで確保して、お話できちゃうからである。窓の外に目をやると、夜景が左から右へ、ゆっくりと流れている。すでに船は出航しているようだ。
ビュッフェ形式の定番的なフードが各会場のテーブルに盛り飾られ(パーティ開始後約15分でタチマチ完食状態。やはり、ここに来る人たちは“肉食系”が多いってことで?)、その周辺ではカジノや格闘技のミニ・マッチが行われており、それなりの盛り上がりをみせている。その退廃的なゴージャスさは、この場に似つかわしいと言えばに似つかわしい。
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カジノに……
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格闘技ショーまで……
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先ほどまで壇上にいた女優さんたちも、表彰式が終わった後はラウンジでくつろいでいた
さっそく、取材と称してインタビュー対象を探しまわってみるが、聞くところによると、なぜかキャバ嬢などもこのパーティには多数参加しているそうで、近ごろのアダルト事情に疎いボクとしては、どのコがAV女優で、どのコが“それ以外”なのかがさっぱり判別できない。とりあえず、片っ端から好みのタイプの女性に声をかけてみるも、「アタシ、エーブイじゃないですよー」と、空振りの連続。しょうがないから即行ナンパ活動に切り替え、タダでしゃべれるキャバ嬢とのメアド交換に勤しもうとするゴメス記者であった……。というわけで次回は、ゴメス記者が感じ取った“AV女優の今”について語ってみたい。
⇒「イマドキのAV女優は、なぜアイドル並みに美形なのか?」
https://nikkan-spa.jp/357760
<取材・文・撮影/山田ゴメス 画像提供/ソフト・オン・デマンド>
【山田ゴメス】
1962年大阪府生まれ。マルチライター。エロからファッション、音楽&美術評論まで幅広く精通。西紋啓詞名義でイラストレーターとしても活躍。日刊SPA!ではブログ「50にして未だ不惑に到らず!」(
https://nikkan-spa.jp/gomesu)も配信中。現在「解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ系列)(
http://www.ntv.co.jp/99answer/)に“クセ者相談員”として出演。『
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大阪府生まれ。年齢非公開。関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッション・学年誌・音楽&美術評論・人工衛星・AI、さらには漫画原作…まで、記名・無記名、紙・ネットを問わず、偏った幅広さを持ち味としながら、草野球をこよなく愛し、年間80試合以上に出場するライター兼コラムニスト&イラストレーターであり、「ネットニュースパトローラー(NNP)」の肩書きも併せ持つ。『
「モテ」と「非モテ」の脳科学~おじさんの恋はなぜ報われないのか~』(ワニブックスPLUS新書)ほか、著書は覆面のものを含めると50冊を超える。保有資格は「HSP(ハイリー・センシテブ・パーソンズ)カウンセラー」「温泉マイスター」「合コンマスター」など