『疲れた』は禁止。モチベーションを下げる社内ルール
“法令遵守”に縛られ、組織内に閉塞感が蔓延。モチベーションは低下し、新しい試みを敬遠する事なかれ主義によって、企業の成長、引いては経済が停滞することを「コンプライアンス不況」と言う。が、コンプライアンスとは無縁のところで、社員のやる気を削ぐに十分なヘンテコ社則が存在する。
◆「コンプラ不況」以前に、モチベーション下がるルールも続々!
コミュニケーションを円滑にするという目的は立派だけれど、「営業が契約を取るたびに係長に電話報告をする決まりがあり、電話越しに皆でおめでとうの拍手を送る」(37歳・女・製造)、「入社時に全員自分であだ名を設定。100人規模の部署で役職に関係なくみんなそれで呼び合う。社内サーバーに“あだ名リスト”が保管されている」(29歳・男・IT)とか、なんだか、仲良しの押し売り感は否めず。
社員のモチベーションを上げるためだろうが、「マイナス発言禁止令というルールがある。『疲れた』は禁止ワード。そんなときは『充実感あった』と言い換え」(28歳・女・サービス)ても、心は置いてきぼりだ。
「親孝行特別休暇というのがあって、両親の誕生日か命日にはお休みがもらえる」(34歳・女・介護)というのはいいルールではある。が、「翌日の朝礼でどんな親孝行をしたかを発表する」というのは少々、気恥ずかしい。
不思議なのは、「就業中、飲食と歌唱禁止」(30歳・女・製造)という規則がある企業が多かったこと。飲食はわからないでもないが、そんなにみんな、仕事中に歌っているの?
パソコンなどの機器に水がかかったら大変。となれば、「自席で飲めるのはキャップ付きの飲み物だけ」(32歳・男・電気)というのはわかる。が、「女ばかりの職場のためか、いつもお菓子がちらかり放題。『食べたら片づける』と書いた貼り紙があちこちに」(26歳・女・出版)、「男性トイレの小便器の枠を外すと、業務終了後の清掃が義務。そのためトイレではみんな、フリーキックを蹴るときの本田のような集中した顔で構えている」(28歳・男・商社)なんてのは、もはや次元の違う話だよなあ。
― 今日も職場はコンプライアンスに大忙し!【8】 ―
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