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審判の判定をインスタで批判、炎上したカープ・福井優也投手

 日米プロ野球で、審判を巡って物議を呼んでいる”事件”がある。

 7月27日(日本時間18日)、テキサス・レンジャーズのエイドリアン・ベルトレ内野手は、次打者の投球を「オンデック・サークル(ネクストサークル)」に入って待つよう審判員から指摘を受けた。

 しかし「あそこに移動してファールボールに当たりたくない。そもそも(プラスチック製の)サークルは滑りやすいからケガもしたくないし!」と主張したベルトレは、次の瞬間、前代未聞の行動に出た。


 重さ数キロのオンデック・サークルを、自分が注意を受けた場所まで引きずって移動させたのだ。これに責任審判のゲリー・デービスが激高し、次打者のベルトレは即、退場処分となった。

 8月14日(日本時間15日)には、前夜の試合でストライク・ボールの判定を巡って退場処分となったデトロイト・タイガースのイアン・キンズラー内野手が、自身を退場処分とした球審のエンジェル・ヘルナンデスを「彼は野球のゲームを滅茶苦茶にしている。他の仕事を探すべきだ」と痛烈に批判した。

http://www.detroitnews.com/story/sports/mlb/tigers/2017/08/15/kinsler-angel-hernandez-hes-messing-baseball-games-blatantly/104635246/
<退場処分を受けたキンズラー選手の試合翌日の様子(英語記事)>

インスタ炎上したカープ・福井優也投手


 日本でも最近、こんなことがあった。広島カープの福井優也投手が、自身のインスタグラム(@yuuu.f.11)でストライク・ボールの判定に不満を連想させる投稿をした。直後に炎上してしまったためか、現在この投稿は削除されているが、ネット上では大きな議論となっている。

画像は福井優也投手のInstagramアカウントより

 そもそも野球という競技に、抗議権は認められていない。

 唯一認められているのは、審判員がルールの適応を誤った際に、監督が審判員に「ルールの適応を確認する」行為のみだ。これはルールブック8.02項に明記されている日米共通のルールである。(下の注:野球規約8.02「審判員の裁定」参照)

 ベルトレ、キンズラー両選手の行為は決して褒められないが、彼らは毅然とした態度で自身の主張を貫いた。特にキンズラー選手は、堂々と記者に対して意見を主張した。そしてキンズラー選手のアンパイア批判は、通常であればMLB機構から出場停止などの厳しい制裁が下りそうなものだが、どうやらそうもいかない事情もありそうだ。

 キンズラー選手を退場処分にした、キューバ生まれのヘルナンデス審判員は、今年の開幕直後に「人種を理由にアンパイアとしての昇進を妨げられている。自分は明らかに不利益を被っている」と、MLB機構を相手に裁判を起こしていたのだ。

http://www.latimes.com/sports/mlb/la-sp-umpire-sues-mlb-race-discrimination-20170703-story.html
<ヘルナンデス審判員がMLBに訴えを起こした記事(英文)>

 両者の関係を鑑みれば、MLBがヘルナンデス審判員をかばわない理由は想像できる。

 では福井投手のインスタグラムに関してはどうだろう?

 ゲームをつかさどるNPBに当日の球審だった牧田審判員を擁護しない理由は見当たらない。今回は暗にミスジャッジを匂わせておきながら、批判を受けた投稿は既に削除されてしまっているため、福井選手の本心はうかがい知ることはできないが、SNSツールを使えば簡単に感情を表現できる昨今。こういう時代だからこそ、アスリート個々には自身の主張を貫く「表現の強さ」が明確に求められる時代といえる。

 この夏も熱戦が続くペナントレースだが、巨人軍・山口俊選手の暴行事件など、プロ野球界でもSNSの発信から問題が大きくなることは珍しくない時代となった。昨日、関係者がカープのコーチやスタッフに確認を取ったところ、本件を把握している者も、全く初耳だった者もいて、チーム内の情報度にはバラつきがあったという。

 奇しくも今日、18時からは福井優也投手が予告先発として京セラドールのマウンドに上がる。試合開始を4時間後に控えた17日午後2時の時点でNPB、カープ球団からの公式見解は発表されてはい。NPB、カープ球団はこのまま無反応を貫くのだろうか?

 選手もアンパイアもひとの子だ。感情があるからこそ、素晴らしいプレー、ジャッジが生まれると言える。プロ野球を盛り上げてくれる彼らをサポートできるのは、連盟であり、球団であると思うのだが……。

(注)8.02 審判員の裁定
(a)打球がフェアかファウルか、投球がストライクかボールか、あるいはランナーがアウトかセーフかという裁定に限らず、審判員の判断に基づく裁定は最終のものであるから、プレーヤー、監督、コーチまたは控えのプレーヤーが、その裁定に対して、異議を唱えることは許されない。

取材・文/小島克典(スポーツカルチャーラボ) www.scl.tokyo




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