「飲み会では女のコがビールを注ぐもの」という、おっさんの謎ルールはどうやって生まれるのか?
若者とおっさん。世代で文化や感性が異なるのは仕方ないものの、なぜかおっさんは持論を展開したがる。その背景には、おっさん特有のルールが渦巻いているのだ。
おっさんの謎ルールが生まれる理由について、恋愛ジャーナリストのおおしまりえ氏は「いわゆる『中年の危機』(ミッドライフクライシス)が関係しているのでは」と話す。
「30代後半になると、年齢による心身の変化に焦りを感じるようになります。これによりアイデンティティの再主張が起こり、『男はこうあるべき』『昔はこうじゃなかった』と語ることで無意識に不安をごまかしているのです」
さらに男性学の第一人者である田中俊之氏はおっさん世代の特徴について次のように分析する。
「40代は全体主義で、『我が社は~』『我が町は~』といった我々意識があります。だから『飲み会で女のコはビール注ぐもんだよ』と我々のルールを親切心から教えているつもりなんです。他には、『ビー・バップ・ハイスクール』のような不良文化がはやっていた時代を経ているので、競争社会や上下関係を見せつける意識が根付いている点も挙げられます」
そして、おっさんの謎ルールが嫌がられる要因はいくつかあり、田中氏はそれを「客観性の欠如と、年齢と内面の不一致」と指摘する。
「例えば自分のアプローチが女性から明らかに嫌がられているのに『照れているだけ』と都合のいい解釈をする傾向があります。それは加齢で劣化したというより、もともと持っていた未熟な性格と、年齢や環境とのギャップが大きくなるせいで目につくのです」
おおしま氏は「年上という立場上、価値観の押しつけが横行し、若者は抵抗を覚え理解されるどころかウザがられます」と話す。
もう、落とし穴がいっぱいだ。対策として田中氏は「自身の姿を鏡や写真で見て『おっさんであること』を自覚し、目を背けないよう自己反省を繰り返すに尽きます」と自戒の念を込めて説く。
【田中俊之氏】
社会学者。大正大学心理社会学部准教授。男が男であるがゆえの悩みについて研究する男性学の第一人者。著書に『男が働かない、いいじゃないか!』(講談社+α新書)
【おおしまりえ氏】
恋愛ジャーナリスト。10代より水商売やプロ雀士、素人モデルなど人気商売を通じて1万人の男性を接客。コミュニケーション術を研究し、年間100本以上の恋愛コラムを執筆。
― [おっさんの謎ルール]アリかナシか? ―
「おっさんの謎ルール」はどうやって生まれるのか!?
『おっさんであること』を自覚しよう
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