俺の夜
バンギャ、メンヘラー、出不精――。安キャバで働く“イケてないキャバ嬢”の共通項が上記の3つ(スギナミの実感値)。近年、素人っぽさをウリにする店が増えているが、それは何も「素の自分であればOK」ということではない。好きな男と接するときの自然体を、嘘でもいいから演じてほしいだけで、追っかけバンドの話を熱弁してほしいわけではないのだ。
料金の高い安い&業態にかかわらず、遊んで楽しめるお店の条件は「女のコにプロ意識があるかないか?」に尽きる。てなわけで今宵は、リピートのできる低料金で、高級店並みのサービスを堪能できる、穴場的名店を探してきた。
バニースタイルは淑女のアイテム
まず訪れたのが銀座並木通りにある「バニーズクラブZen 銀座8丁目店」。高級感溢れる店内には、容姿端麗なバニーガールたちが百花繚乱。1時間3000円~という料金設定からガールズバーかと思いきや、女のコが隣に座るキャバクラスタイル。男女の距離で体のラインを強調されて、目のやり場に困ってしまうが、働く女のコたちに恥や照らいはない。
「バニーの衣装が着たかったのでこのお店を選んだんです。似合うように体形の維持には気をつけてます」(愛原ちゃん)
衣装はすべて、女のコたちが好みの色、生地を選んだセミーオーダーの高級品。ド○キの安コスプレとは違い、品位と知性が滲み出ている。網タイツ&黒パンプスと合わせて、バニースタイルは淑女のアイテムであることをあらためて実感する。
また、女のコからドリンクのおねだりがないことも好印象だが、みんなお酒が好きでワイワイ楽しみたいコたちばかり。ウイスキーのボトルを頼めば、「じゃあ、今日はこれを空けてくれるまで帰しませんよ」(木俣ちゃん)なんて気の利いた返しで、夜遊び心を盛り上げてくれる。夜の一等地をリーズナブルに堪能したところでお店をあとにした。
【バニーズクラブZen 銀座8丁目店】
中央区銀座8-5-12 第2ウルワシビル2F
電:03-3571-3838
営:18時半~23時半
休:日・祝
料:60分3000円~
http://www.zen-group.jp/zen8/
高級感溢れる杉並の穴場
次なる目的地は荻窪駅西口にあるラウンジ「アルスノバ」。お店に足を踏み入れてまず驚くのが、瀟洒な調度品と2層の吹き抜け構造になった内装。迎賓館のダンスホールといった趣きながらも、セット料金は3000円という激安設定だ。
「お店のコンセプトは、お客さんが本音で憩えるクラブです。私があまり得意じゃないってこともあるんですけど(笑)、政治とか経済の堅苦しいお話よりも、好きな性癖とか、接待では使わないようなラフなぶっちゃけ話で、一緒にお酒を楽しみたいですね」
そう快活そうに高笑いしながら語るのは美人ママの美沙さん。高級クラブを経て今のお店を立ち上げた、この道ウン十年の強者だ。
「お店のホステスは常時8人。あえて未経験のコを採用して、私色に育てあげるのが好きです」そんな美沙ママの言葉どおり、その遺伝子を受け継いだ女のコは、お店を盛り上げようと前向きなコばかり。「パンツ食い競争、大運動会」などのイベントにも積極的で、そのノリの良さに、日々の疲れがパーッと発散される。
接客の教育が行き届いたお店は、低価格でも高級店を凌ぐ満足感を味わうことができるのだ。
【アルスノバ】
杉並区上荻1-17-3 Kプラザビル2F
電:03-3220-5690
営:19~25時
休:日・祝
料:セット料金3000円
大物演歌歌手が来訪するイベントも。小誌持参の40代男性にボトル金券5000円分進呈
撮影/石川真魚 協力/猪口貴裕
’80年代アイドル、橋幸夫、そしてクレイジーキャッツをイメージした賑やかなオープニング曲――大ヒットのNHK連続テレビ小説『あまちゃん』の魅力の一つにあげられるのが、懐かしの昭和歌謡をモチーフにしているところ。「当時はこんな曲が流行っておりました」という宮本信子のナレーションに合わせて’80年代アイドルソングの映像が流れるたびに、音楽番組に夢中だった10代の頃を思い出して琴線がかき鳴らされる。
てなわけで今宵は、『あまちゃん』的な昭和歌謡の世界を満喫できる、夜の名店に足を運んでみた。
昭和のヒット曲をギャルが歌い上げる
まず向かったのが荻窪の“昭和歌謡と乙女”のバー「桃色吐息」。カウンター越しに接客してくれたのは、けいと、ななせ、らんの3人娘(平均22歳)。行きつけの若いスナック嬢が、浜崎あゆみと倖田來未しか歌わないことに辟易としていたスギナミ。「おいおい、こんな見た目だけキャンディーズな小娘たちに昭和の歌がわかるのかよ?」と訝しみながらマイクを渡すが、久保田早紀、中森明菜、石川さゆりをしっとりと歌い上げられ、「じぇ!」を連発。潮騒のメモリーズもそうだが、若いコが歌謡曲を歌う姿には、なぜか親しみがわいてしまう。「9月のテーマ曲は加山雄三と高橋真梨子です。2曲歌い通せばボトル無料なので、挑戦してみてくださいね」(ゆうきママ)
幸せだなぁ、僕は君といるときが一番~♪などとオッサンの下心全開で女のコにアピール。「ギャルと楽しむ昭和歌謡」の良さを再確認しつつ、店をあとにした。
【荻窪「桃色吐息」】東京都杉並区上荻1-17-7 第5田丸ビル3F
電:03-3220-7990
営:19時~ラスト
休:日
料:チャージ1000円(お通し付き。女性は500円)
純和風ポップをモチーフにした、レトロな内観。アットホームなガールズバー