続いて訪れたのは、六本木のスナック「昭和歌謡」。店内の壁面には昭和スターのピンナップがズラリと貼られ、モニターには懐かしの映像が延々と流れている。こちらはキャストの年齢層も高く、ソファに座って酒と言葉を酌み交わしているだけで、昭和にタイムスリップしたような錯覚を覚える。
歌詞に出てきそうな美人ママの一代記
「もう30年以上も前の話。高校生のとき、好きな男と一緒にいたい一心で家を出たのね。同棲先は京成線の町屋駅近くの木造アパート。お金なんてないから、瓶ビールのケースを敷き詰めてベッド代わりにしてね(笑)。かぐや姫の『赤ちょうちん』って曲。あれを聴くと、あの頃を思い出すの」奥村チヨ似のママ・キクさんの話に心を奪われる。『あまちゃん』第7週、「おらのママに歴史あり」ならぬ「スナックのママに歴史あり」ってところだ。そして、その一代記は、すべからく昭和歌謡の世界観そのものなのだ。
大人の夜を盛り上げるディスコ&昭和歌謡
昭和歌謡ガールズバー&スナックを回ってきたが、最後はさらなるディープゾーンへ。鶯谷にある歌謡曲カフェ「Lovers’」だ。広い店内の中央にはダンスフロアが広がり、端にはDJブースが常設。そして、フロアの上部には燦然と輝くミラーボール。
アメリカンバーのシステムを導入している同店では、“ウサミミ”をつけた女性に1ドリンク振る舞えば、席に呼んで20分ほど一緒に遊ぶことができる。鈴木聖美のバラードが得意な国生さん、今日初めて来たというエミさんの2人を呼んで、早速カラオケを注文。
「お次はスギナミさんとエミちゃん、ちょっと秘めた間柄の二人が贈るヒットナンバー、ロンリーチャップリン、どうぞ~!」
小気味のいいMCと、ステージに吹き上がるしゃぼん玉の演出に自然とテンションも高まり、昭和スター気分で喉を鳴らす。
そして、カラオケの合間のディスコタイム。中年の紳士淑女が一糸乱れぬ軽快なステップで乱舞する姿を見て思わず、「かっけぇ~」の言葉が口を突くのであった。
【六本木「昭和歌謡」】東京都港区六本木3-9-3 六本木ロイヤルビル3F
電:03-6804-3645
営:19~24時
休:土日祝
料:チャージ6000円(ワンドリンク付き 女性は5000円)ボトルは5000円より
毎週木曜はコスプレデイ
【鶯谷「Lover’s」】
東京都台東区根岸1-1-16 B1
電:03-5808-4343
営:19時~ラスト
休:なし
料:入場料3000円(時間無制限 カラオケ無料 2ドリンク付き 追加ドリンクは500円)土日はディスコ専門。出会いの場として有名
協力/猪口貴裕 撮影/石川真魚
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スギナミ 東京都生まれ。主な出没地域は中野、高田馬場の激安スナック。特技は「すぐに折れる心」
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