俺の夜
気がつけば師走。思い返せば今年は大変なことばかりだった。そんな年くらい楽しく締めくくりたい。そんな折、悪友たちの忘年会の幹事を仰せつかった苫米地。「安く、みんなでワイワイできる店はないものか」と思案していると、お馴染みの夜遊びガイドO氏が相談に乗ってくれた。「それならやっぱりショーパブでしょう!」と教えられ、下見に向かったのは六本木。氏によれば、大衆的なショーパブが元気なのが六本木なのだという。
あまりの迫力にしばし呆然、そして絶叫!
「まずは元気のいい店で、テンションを上げていきましょう!」と案内されたのは「バーレスク」。映画『バーレスク』をモチーフにセクシーでド派手なショーが楽しめる店だという。レディー・ガガのポスターがベタベタ貼られたドアを開けると、熱気ムンムンの店内。曇るメガネのレンズに動揺していると、「いらっしゃいませー」と女のコたちが元気よく迎えてくれた。急いで曇りを拭い、見回すと、水着、水着、水着! 総勢20人ほどはいようか。聞けばガールズバーだが、一日3回女のコたちが出演するショーが催されるそう。
さっそく美女と乾杯しようとすると、「このお札に換金してください。ドリンクや女のコのチップとしても使えるんですよ」と見せられたのは「RION(リオン)」という六本木の“有名人”を模したような名の店内通貨。1リオン=100円のレートだそうで、O氏とそれぞれ5000円を両替。100枚の札束がドカッとテーブルに置かれ、一気に“大金持ち”気分に。
すると舞台が突如暗転。派手な音楽とともにショーが始まった。舞台前のかぶりつき席に案内された俺とO氏は札束の扇子を振り野卑な笑いを浮かべる。
最初は椅子を使ったセクシーダンス。椅子を男性に見立ててからみつく。さっきまでニコニコと接客してくれていたコもセクシーな衣装に身を包み、妖艶な表情で踊り出す。思わず身を乗り出すと、なんと舞台へのお誘いが!? 椅子に座らされると、目の前で誘惑の舞を披露。「マナ板の上の鯉」とはこのことだ!
お次はテーブルダンス。女のコがテーブルに上がり、激しく腰を振る。見上げれば尻尻尻……『お尻倶楽部』を愛読する俺にとっては極上の光景だ。
【バーレスク】
住:港区六本木7-13-2 アーバンビル4F
電:03-6447-2037
営:21時~翌3時(最終受付翌2時)
休:日・祝
料:3000円~(60分・飲み放題)●左からかんち、いちご、Miiちゃん
一度のぞけばクセになる官能の秘宴
酒と汗と恍惚に身を委ねた宴は、果てしなく続くのであった。
【シュガーヒール】
住:港区六本木4-12-5 六本木144ビル3F
電:03-5410-1550
営:20時~翌1時
料:1万円~(飲み放題・ホステスドリンク付き)
●S嬢の凛さん(左)とRikoさん(右)
今やなでしこJAPANの人気はうなぎ上り。「なでしこ」という言葉は世界中に轟きはじめた。実は女子サッカーには思い入れがある苫米地。03年のアテネオリンピックの大陸間予選、「なでしこ」の愛称がついたばかりの女子代表が、聖地・国立競技場でメキシコを破り、見事本戦出場を勝ち取った試合を生観戦。澤穂希選手と丸山桂里奈選手のゴールを目の当たりにしてから応援し続けている俺。だから「なでしこ」には人一倍思い入れがあるのだ!
悦に入りながらそんな演説をぶっていると、AKB好きのスパムが「アキバに女のコの握る寿司店があるのを知ってます?」と聞いてきた。「寿司は女が握れるもんじゃねぇんだ!」と海原雄山ばりに目を剝くテポドンを横目に詳細を聞くと、その名も「なでしこ寿司」といい、板前もホールも女性だけの寿司店らしい。サッカー同様「なでしこ」が男世界の寿司業界にも進出……インディーズバンドが苦節の末メジャーデビューし、自分から一気に離れていく時の古参ファンのような、複雑な気持ちが去来した。
イキのいいお寿司を召し上がれ♥
萌え系+握り寿司の不思議なコラボに……
アイドルグッズ店やメイドが乱立する通りの電機店の2階にその店はあった。“萌え系”のイラスト、可愛らしいポップ、一見するとメイドカフェと変わらない。しかし、店頭に貼られた握りの写真が“独特の風情”を醸し出している……。
「いらっしゃいませ~!」。引き戸を開けると、元気な女のコの声がこだました。白木のカウンター、和風の店内は、外のカオスがウソのような落ち着きだ。