春の訪れを感じる今日このごろ。旨い飯でも食べて、そのあと、女のコがいる店を冷やかそうと考えていたところ、夜遊びガイドのO氏から「中野に来ませんか? 腹空かせて来てくださいよ」と電話が。
中野駅北口を出て、飲食店やキャバクラが無数にある雑多な通り。夜ごと界隈を徘徊していたエロ本時代を思い返しながら、中野ブロードウェイの辺りに行く。目指す店が見当たらず、氏に電話すると、ラーメン店の2階と思しき階段からO氏がひょっこり現れた。
極細の階段、真っ白な暖簾に「ゆきみさけ」の屋号。ここは一体?
料理自慢のママの過剰な「おもてなし」
トントンと階段を上がるとカウンターのなかには美女が。
「お飲み物なに召し上がります?」ガールズバーかと思いきや、まさかの小料理屋。手際よく注いでくれた生ビールを舐めていると、目に飛び込んできたのはカウンターの上にズラリと並べられた大皿。
「10種類から1品選んでください。これがお通しになります」
筑前煮、がんもと厚揚げ煮、鶏モツ煮込み、マグロの甘辛煮……。どれも旨そうで迷う。小松菜とがんもの煮浸し、たけのこ煮をそれぞれ選ぶと、ママがこんもりと盛りつけて渡してくれた。え!? これ1人前?
「お客様の喜ぶ顔が見たいから、ついついサービスしちゃうの。これだけでお腹いっぱいになると言われることもあるけど……」
とコロコロと笑うママ。心意気にビールをご馳走すると「はい、サービス」とこれまたてんこ盛りの大根と豚の角煮の“ご返杯”。
昼の13時半から開店ギリギリまで仕込んでいるという手作りお通しの数々。開店後もひとりで切り盛りしている。福島県出身のママはなるべく地元の食材にこだわって料理を作っているのだという。
「少しでも福島の力になりたくて、東日本大震災の後にこの店を始めました。以前は地元産の野菜や米は実家の母が送ってくれていたんです。母が亡くなって全部というわけにはいかなくなったけど、ウチで出している県産のお米は最高級品。絶対食べていってね」
毎日店で玄米を精米し、お客に食べさせるご飯。「くれぐれもそれまでお腹いっぱいにしないで」と、どの客にも念を押すほど。
気前の良すぎる盛りに酒もグイグイ進む
あまたあるメニューに目移りしていると、「ウチの名物よ」と出されたのは「天然本マグロのブツ刺し」。脂の乗ったピンク色の中トロが豪快に盛られた逸品は、舌先でさっと溶けてしまうほど。
豊洲で毎朝仕入れる魚介類はママの目利き。それもそのはず、ママは26から31歳まで銀座の一流クラブでホステスをしていたのだ。 「お客さんにはずいぶんおいしいものを教えていただいたわ~」とさらりと言うが、往時の舌の記憶がメニューに反映されている。 関東ではここでしか飲めないという地元「若清水酒造」の日本酒を頼むと、「ほぼ2合」というどデカいグラスに並々と注いでくれる。「シメ」をお願いすれば、てんこ盛りの「ウニ丼」。のけぞる俺。
「2軒目に行けなくなるから、結局安上がりでしょ(笑)」【美酒嘉肴ゆきみさけ】
住:東京都中野区5-52-1 2F
電:03-6454-0258
営:18~24時(状況により早じまいあり)
休:日
料:おまかせコース(4000円~)あり
カウンター9席、テーブル2卓。宴会も可能。予算に応じて料理を出してくれるが、どれも盛りが良いと評判
協力/O氏(夜遊びガイド)撮影/渡辺秀之
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苫米地 某実話誌で裏風俗潜入記者として足掛け5年。新天地でヌキを封印。好きなタイプは人妻
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