オリンピックも閉会式を迎え、折り返し地点を過ぎた緊急事態宣言下の夏。いまだ飲食店は時短営業を続けていて、夜の街には活気が戻らない。自宅で一人、コンビニで買ったつまみを肴に日本酒をあおるのにもすっかり慣れてしまった。
これはこれで悪くないが、当初思い描いていた社会人2年目の夏とはだいぶ違っている。『東京ラブストーリー』のような、恋愛群像劇を繰り広げていたはずなのに……彼女もいなければ出会いもない。というか俺、そもそも恋愛というものに縁がないじゃないか。
セーラー服美女たちが時計の針を巻き戻す!
中学時代はサッカー部のエースに彼女をとられ、高校時代は好きな女のコを4回デートに誘うも全て断られて終了。灰色の学生時代は、これからどう生きようが塗り替えることはできない。
どうにかして俺の青春を取り戻すことはできないものか……いたたまれない気持ちで日本酒をあおっていると、ふと友人がハマっているという「二次元カノジョ」というガールズバーの存在を思い出した。
今年5月にオープンしたばかりにもかかわらず、激戦区の秋葉原ですぐさま人気店になったそうだ。「俺の青春はここにあった」と真顔で豪語していた友人の言葉を信じて入店する。
クラスメイトのような楽しい距離感出迎えてくれたのはセーラー服を着た女のコたちだ。清楚っぽいコからギャルっぽいコまで、いろんなタイプのコが楽しそうに雑談している。「本当に高校生なんじゃないか?」と疑ってしまうほどのリアリティがあった。
「ここはできたばっかりなのもあり、こういうお店で働いたことのないコが多くて。上下関係が全然ないから、女のコ同士が本当に仲良くて楽しいです!」
と、学級委員のような雰囲気をもったうみちゃんが教えてくれた。そう聞くと、ここがクラスメイトが集まった教室のように思える。高校時代はバスケ部だったというりあんちゃんと部活動談議に花を咲かせていると、クール系美女のこうきちゃん、ロングヘアの似合うゆりかちゃんも会話に交じる。女子たちと放課後に話しているような懐かしさを感じてしまう。
本当に高校生なんじゃないかと錯覚しそうに
ふとテーブルに目を落とすと、
「君にひとめぼれ」と書かれたプレートが。気になったコの前でこれを掲げると、そのコと話せるというシステムらしい。要は指名と一緒だが、こういうちょっとしたイベント感がたまらない。
目の前を通りかかった、ボブが似合うかんなちゃんの前でプレートを掲げると、まるで告白のような雰囲気に。「ありがとう!」と無邪気に喜んでくれる様子が嬉しい。「2人でチェキ撮ればいいじゃん!」と勧められ、店内でパシャリ。現像されるまでみんなで待っている時間、俺は本当に高校生なんじゃないかと錯覚しそうになった。
その後も一緒にパンケーキを食べたり、お互いの恋愛話に花を咲かせたりしていたら、あっという間に時間が過ぎてしまっていた。2時間ぶりに携帯を見ると、先輩から書類を催促するメールが1通。「社会人きついなあ」と小さく呟き、青春の城を後にした。【二次元カノジョ】
住:東京都千代田区外神田4-4-7 MTビル4F
電:03-6260-7130
営:平日17:00~翌1:00 休日16:00~翌1:00
休:不定休
料:50分飲み放題2980円、延長25分1980円 1set3回転
●新型コロナウイルスの影響で営業時間や定休日が変更の場合があります。詳しくはHPをチェック
撮影/渡辺秀之
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ケンビシ 新卒2年目のゆとり世代で楽しく夜遊びを勉強中。好きなタイプは「うなじが綺麗な人」
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