ディープスポット大塚に進化の予兆コンカフェ新店で成長を見届ける!

 コロナ禍で鬱々とした日々を過ごすなか、僕は「人生の棚卸し」をする機会が増えた。

 振り返ってみると、夜遊びライターとしてのキャリアは、大塚から始まった。約15年前、右も左もわからないなか、先輩から1万円札を渡されて「これで3店舗リポートしろ」と指令を受けたのだ。実際に足を運んでみると、すぐにその意味が理解できた。昭和の面影を残した街にくたびれた激安店が立ち並ぶ。

 衝撃だった。先輩は、何も知らない後輩に洗礼を浴びせ本当にやっていけるのか試そうとしたのだろう。あれからずいぶん長い月日がたち、少しは成長したと思う。一方で、慣れてしまった自分がいる。

 あの頃の新鮮な気持ちよ、もう一度……。僕は原点に返るべく、大塚に向かった。

整備された北口方面に今ドキのメイドを発見

 駅の北口を出ると、驚いた。ロータリーが整備され、オシャレなモニュメントが建てられている。近未来感がすごい。呆気にとられつつも商店街に歩を進めると、ようやく懐かしい景色が。しかし、そのなかに今ドキのメイド服に身を包んだ若い女のコがいることに気づいた。こんなところにコンセプトカフェ……?

俺の夜

写真左から、めるさん(Twitter:@meruchi_may)、ゆうにゃるさん(同:@May_no_yuu)、おはなさん(同:@ohanachan_May)

「じつは、8月3日にオープンしたばかりなんですよ~」

 これもライターとしての本能だろうか。僕は雑居ビルに吸い込まれていた。訪れたのは「cafe & bar May」という店。

俺の夜

取材を受けた日が初出勤だったというめるさん

「今日が初出勤でコンカフェで働くのも初めてなんです……」

 少し緊張した様子で話すめるさん。そんなコが、なぜ大塚で?

「地方から出てきたので、全然知らなくて。できたばかりの店だから人間関係も良さそうだなって」

 ピンク髪がトレードマークのゆうにゃるさんは、慣れた雰囲気で料金システムなどを説明してくれるが、「じつは私も接客業自体が初めてなんです。でも他店に“推し”がいて、私もやってみようかなって」。

俺の夜

チェキの撮影スペースには、かわいらしいソファと専用のリングライトが設置されている

 憧れのコンカフェ嬢がいて、自分も働き始めるパターンは多いらしい。おはなさんもそれにうなずきながら「あとは、やっぱり衣装。ウチは4種類あるので、毎日着替えられるのがうれしくて」と続ける。まだオープンして間もなく、初々しいキャストばかりだからこそ、今から通えば今後の成長を見届けられるだろう。

ノンアルコールのオリシャンで乾杯!

 ゆうにゃるさんには「将来は自分で店をプロデュースしたい」という夢があるそう。明るい未来を祈ってノンアルコールのオリジナルシャンパンを入れると、まだ店で統一のシャンパンコールは決まっていないらしいが、「マエザワさんからオリシャンのロゼをいただきました。サンサン、ニーニー、イチイチ、よいしょ~!」と、ゆうにゃるさん独自のものを披露してくれたのだ。

俺の夜

新オープンならではの初々しさにキュン

 実際、定まっていない部分も多いのだが、むしろ「“推し〟を育てる」醍醐味が味わえるというもの。店主の男性に聞けば、「あなただけのアイドルが見つかる」というコンセプトのもと、あえて大塚に出店したのだとか。

俺の夜

1000円で女のコにカラオケをリクエスト可能。ただし客側が歌うのはナシ。店主いわく「今後はアイドルイベントなども検討中」とか

「ここは発展途上の街だからこそ、開拓する楽しみがあるというか。若者でも来やすいクリーンなイメージに変えていきたくて」

 とはいえ、大塚ならではの苦労もある。訪れる客のなかには、そもそもコンカフェを知らない人もいるそうだ。それでも前を向いて挑戦することをやめない。

俺の夜 そんな話を聞いていたら、自分自身も気持ちを新たにがんばる勇気が湧いてくる。今日が人生でいちばん若い日。僕のスタートラインは、やはり大塚にある。そして夢の続きを見るため、コンビニのATMまで走ったのだった。

【cafe & bar May】
住:東京都豊島区北大塚2-13-4 白鳳大塚第1ビル2F
電:16時~LAST
休:月曜
料:飲み放題40分3000円(1人)、2500円(2人)、2000円(3人)
※詳細はTwitter(@cafebarmay)をチェック!
●営業時間や酒類提供の有無が変更になる可能性があります。店舗にお問い合わせください

撮影/長谷英史

マエザワ エロ本出版社出身、元ギャル男雑誌編集者。無類の外国人好き。趣味は「夜の国際交流」
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