人生の先輩たちが愛してやまない歌舞伎町の老舗で新しきを知る夜

 新年会の酔客で溢れる歌舞伎町。景気対策を核に据える安倍政権の復活で株価は上昇を続けているが、残念ながら庶民の俺には実感がない。ついつい「昔は良かった……」などと往時に思いを馳せていると「歌舞伎町が一番すごかった時代を感じてみませんか?」ポツリと夜遊びガイドのO氏は言った。

 まさに“往時の象徴”。跡形も無くなった旧コマ劇場前の老舗ビル、ゴトリと揺れて止まるエレベーターの扉が開くと、別世界があった。

歴史と伝統。でもリーズナブル

回るカウンター ゴンドラ 円形のカウンター全体がゆっくりと回転、100分で1周するという店「回るカウンター ゴンドラ」。巨大で時計回りに動くフロアーカウンター、きらびやかな照明、年上の紳士たち……俺の知る歌舞伎町とは違う喧騒があった。

「いらっしゃいませ」。カウンターに現れたのは、ちひろちゃんとえりちゃん。ブランデーを飲みつつ店の歴史を聞けば、’71年の創業、今年で42年目。2人は当然だが、俺すらこの世に生を受けていないという、なかなかの老舗なのだ。

回るカウンター ゴンドラ「私のお父さんくらいのお客さんが多いですね」。お若いのにしっかりとした口調。派手なドレスや極度の巻き髪ではなく、どこか懐かしい、素人っぽい佇まいは、齢38のオヤジ心を鷲掴みにする。

 順調に杯を重ねていると、音楽が替わり、女のコが立ち上がった。ショータイムだろうと油断していたら、真っ赤なハッピを着せられフロアへ。見れば、周りの客も立ち上がり、ハッピ姿になっている。EXILEの「銀河鉄道999」がかかると、タンバリンをフリフリ。女のコに教えてもらいながら客も同じ踊りをするのが恒例なのだ。

 客席も回り、老いも若きも回る。店に生まれる連帯感が心地よい。

【後編】に続く⇒

【回るカウンター ゴンドラ】
新宿区歌舞伎町1-14-7 林ビル7F
電:03-3203-6000
営:19時~翌1時
料:8000円(100分・~20時半・1名)、1万4000円(同・2名)

【後編】に続く⇒

苫米地 某実話誌で裏風俗潜入記者として足掛け5年。新天地でヌキを封印。好きなタイプは人妻
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