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ドラマ「重版出来!」を毎週熱心に観てしまう理由【コラムニスト木村和久】

 ドラマは、漫画家と編集者の関係を、とことん突き詰めているが、あるあるネタのオンパレードなことが可笑しい。読者モデルと同棲している、若手漫画家が出て来たときは、笑えたっす。あれは、あるな。さらに昔、熱血編集者だった安井昇(安田顕)は、今やマイペースで残業もなく、システマチックに仕事をこなし、漫画家をモノ扱いし、「ツブシの安井」と言われているとかね。これもありがちなキャラだけど、別に害はないから、いいんじゃないですか。実際の編集者のひどい話を書いたらキリがないですよ。500万円借りたまま、5年間逃げまくった方いましたから。フリーランスに危害を加えないだけ、全然まし。  本筋の話でいうと、やはり絵がヘタでも作品に魂がこもっているから作家としてデビューできるタイプと、卒なくこなすがヒット作に恵まれず、アシスタントのまま、何十年も過ごすタイプとかね。デビュー出来て、売れっ子漫画家になれるのは、ひと握りという、現実は厳しいです。ここらへんは、雑誌ライターでも同じで、ずっとスタッフライターをやってても、単行本は出してもらえないわけで、出版界のフリーの悩みが、これでもかってくらい、沢山描かれている。  登場する漫画家は、執筆活動40年ぐらいの漫画界の重鎮もいれば、昔、一世風靡したけど、今やアル中でナマポ的生活を送っている先生もいるしと、同じ年代の先生でも、だいぶ生活レベルが違うんだなと、しみじみ思う場面もある。まさに、漫画家残酷物語ですね。  ドラマに登場する漫画は、実在の漫画家が、実際に描いているのを使用しているので、妙なリアリティもある。しかも、SNS関連の話も多く、ネットで悪口を書かれたり、編集者がこっそり内部事情を、SNSでアップしてたりと、旬なネタも満載だ。  トータルで見ると、大手出版社を取り巻く、漫画家と編集者の話だから、妙に安心して、見ることができる。逆に考えると、中小の出版社の話は辛すぎて、ドラマ化すらできない。すでに倒産や身売りした出版社が多数あり、ギャラの遅延あり、引退した編集者や漫画家、ライターは数知れずだ。
木村和久

木村和久

 そうやってみると、タイトル通り、単行本を増刷させる「重版出来」が目的であり、出版界、最後の打ち上げ花火的なドラマなのかも知れない。多分あと20年ぐらいしたら、「おめでとうございます、重版かかりました。ただし重版部分はネットで」なんてことが、かなりの確率でありえますからね。 ■木村和久(きむらかずひさ)■ トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦。著書に『50歳からのかろやか人生』
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重版出来!

マンガに関わる人々の超骨太人間ドラマ





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