プロレス歴、2年2か月。ジェイク・リーの葛藤【最強レスラー数珠つなぎ vol.3】
――なぜプロレス界に戻ってきたんですか。
ジェイク:整体の仕事をやり始めて3年くらい経ったときに、並行してスポーツトレーナーの仕事を始めたんです。僕としては幸せだったんですよ、すごく。けど、どうしても引っ掛かるものがあったんです。それがプロレスだったんですよね。いろんなかたのサポートがあって、デビューまでなんとかこぎつけて、でも1シリーズしか完走せずに、いきなり自分の気持ちが折れたからやめます、となってしまった。それが心残りで仕方なくて。このままじゃ、自分が死ぬときに絶対に後悔するだろうなと思ったんです。自分自身の後悔の念をなくすために、もう一回戻って答えを見つけよう、もしかしたらその先になにかあるかもしれないと思ったんです。
――一度心が折れて復帰をするのは、相当な勇気がいったんじゃないかなと。
ジェイク:正直、毎日が不安の連続でした。一回デビューをしているから、ある程度はできるだろうという期待の目で見られましたし。けど実際のところ、ほとんどなにもできずにデビューさせてもらったので、ホントにゼロからのスタートでした。ただ、僕がいた当時の全日本の社長は武藤敬司さんだったんですけど、WRESTLE-1という団体を立ち上げて、ほとんどの選手がWRESTLE-1にいったんです。なのでデビュー当時の僕を知っている選手は限られた人たちだけで、逆にそういった部分ではやりやすさはあったのかもしれないです。
――かなり異色な経歴ですよね。
ジェイク:例えばプロレスじゃなくて、大学を卒業して内定をもらって企業に入ったとします。7か月、8か月そこらで心が折れて、うつ病みたいな感じになって辞めました。アルバイトをしながらコツコツお金を貯めていました。けど、その企業に未練があるから、またその企業に就職した、という感じですね。それが僕の場合、プロレスだったんですよね。そういう風に考えたらあり得ないですよね(笑)。
――精神的に病んでしまった?
ジェイク:元々、芯が強い人間ではないので。うつ病に近い感じでしたね。地元に帰ったときは整体師の仕事をやりましたけど、やるまでの2、3か月はずっと家に引きこもっていました。「俺、なにやってるんだろう?」と思いながら。でもその経験があったから、物事に対する受け止め方は変わりましたね。自分に対してプレッシャーをかけ過ぎず、気負わず、高望みをしなくなりました。僕はコツコツいろんなものを積み重ねていく人間なんじゃないかなと思います。ギャンブルみたいに一発逆転ではなくて、本当にコツコツ、コツコツですね。
――プロレスラーとして、高望みはしていない?
ジェイク:していなかった時期もありました。再デビューした当初なんかは、とりあえずもう一度リングに上がって、そうすることでファンの方たちのために頑張ろうというのはあったけれども、自分がチャンピオンになりたいとか、どうなりたいという目標はあまりなかったです。どちらかと言うと、どういう風にしてお客さんを喜ばせるかということばかりで。けど、最近だいぶ変わってきました。
――どんな風に変わりましたか。
ジェイク:去年、全日本の大量離脱があったとき、主力選手が次々といなくなって、自分が新人ですなんて言える状況じゃなかったし。パートナーが健斗さんというのもあって、メインで試合をすることが多くなったんですよね。その中で、自分がメインを張ることで、いろいろなことに気づき始めました。どれだけ頑張ってもメインの試合にこぎ着けない選手もいるのに、そういう選手は喉から手が出るほど欲しいチャンスを僕は物にしているのに、すごく勿体ないなと思ったんです。そこから意識が変わってきました。
尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(@sayama_joshi)」発起人。Twitter:@ozaki_mugiko
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■【カーベル presents 全日本プロレス in 両国国技館】 東京・両国国技館
【開催日】2016年11月27日(日)
【開場時間】13時30分
【開始時間】15時00分
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