米音楽史のレジェンドである“マイケルの兄”が、待望のソロ作発表!【ティト・ジャクソン×西寺郷太 発売記念対談】
――お二人はふだんどんな話をするんですか?
ティト:なんでも話すよ。でもほとんど音楽の話だね。我々は心の隅の隅までミュージシャンだからね。郷太の家に遊びに行って、彼のスタジオで演奏したり……。
郷太:設備が整ったティトのスタジオとは違って、ただの部屋ですけど(笑)。
ティト:彼の奥さんと子供に会わせてもらったり、一緒にスシを食べに行ったり。郷太は素晴らしい男だよ。才能豊かで、音楽的な目標が明確で、おまけにいろんな顔を持っている。ミュージシャンであり、作家であり、シンガーであり……。いろんなことをやる人はいるけれど、すべてに優れている人はなかなかいない。”Go with Gota!” っていつも言っているんだよ。ラップの才能があるのを知ったのは今月か先月くらいだけど(笑)。
――ソロアルバムの収録曲「ウィ・メイド・イット(リミックス)feat. 西寺郷太」ですね。
郷太:ティトの歴史を歌ったんですけど、そもそも日本語を入れたいというオーダーだったんで、海外の人にもわかりやすいといいなと、あえて“いちにっさんし、ジャクソン5”みたいに歌ってます。心残りは尺が短すぎて6人兄弟の末の弟、途中でグループに加入したランディの名前を入れられなかったことですね。
ティト:ライムに収まらなかったんだね。女友達が意味を教えてくれたけど、あんな短いセクションに私の歴史を凝縮してくれて、感服したよ。
郷太:「ジャパニーズラッパーがほしい」って連絡をもらったのが泊まり仕事で愛知県豊橋市にいかなきゃいけない日で、東京には二時間しか入れなくて。締め切りが迫ってて、誰かに頼もうにも数日でやってくれなんて言えない。しょうがないから「僕じゃダメですか?」って。数10分で完成させて、アメリカにファイルを送りました。
ティト:そうだったのか。君がベストだったと思うよ。ラップのレコードを作ったことはあるの?
郷太:何回かちょっとだけやったことはありましたし、もともとラップは好きですよ。だけど関係者内のメールで「Japanese rapper: Gota」って書かれたのが回ってるのを見て、いや俺ラッパーじゃないんだけど……って思ってました(笑)。
ティト:ハハハ!
郷太:それにしてもティトって、車の修理とギターが好きだとか、子供のころから変わらないんですよね。軸足がブレないところが大好きです。本当に音楽が純粋に好きなんだなって、本を書くために調べたときあらためてよくわかりました。だから日本でも何度もライヴをやってくれたと思うし、ジャクソン5と日本との架け橋になってくれたんですよね。
ティト:ありがとう。日本で演奏するのは楽しいよ。日本のオーディエンスも大好きだ。いつも支えてくれるし、愛に溢れていて、ムードを盛り上げてくれる。オーディエンスはミュージシャンに力を与えてくれる大事な存在だからね。
郷太:まさにそうだし、とくにジャクソンズの曲は、どうやったらみんなが感動するかっていうシステムをすごく考えて作られているということが、ティトがライブで演奏したりするとよくわかりますね。めちゃくちゃ勉強になります。とくにジャクソンズ以降の曲は兄弟たちが協力して作っているので。
ティト:ジャクソン5のモータウン時代やジャクソンズ初期のフィラデルフィア時代に学んだものも大きいし、それ以前の8年間のアマチュア時代の経験も反映されている。マーヴィン・ゲイ、スティーヴィー・ワンダー、スライ&ザ・ファミリー・ストーンといった先輩たちを見て学んだんだ。
『ティト・タイム』 アーティスト活動50年目、63歳にしてのソロ・デビュー・アルバム |
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