米音楽史のレジェンドである“マイケルの兄”が、待望のソロ作発表!【ティト・ジャクソン×西寺郷太 発売記念対談】
――長年のキャリアで蓄積してきたものが『ティト・タイム』に反映されているんですね。素晴らしいアルバムだと思います。
ティト:ありがとう。そう言ってもらえるとうれしいね。自分ではいいのか悪いのかわからないから。これまで学んだことや愛した音楽をファンと分かち合いたいと思って作ったファーストアルバムなんだ。みんなが気に入ってくれるといいな。
郷太:最高のアルバムですよ。3年前にスタジオにお邪魔したときに「クルージン」などいくつかの曲は聴かせてもらっていて、すぐにでも出るんじゃないかと思っていたんですけど、それからの3年でできた曲がどんどん世の中のトレンドに追いついてきたというか、ティトがやってきた音楽に世の中が追いついてきた感じがして、2016年の終わりに出たのは結果的にタイミングもよかったと思います。どうしても「ジャクソン5のティト」って強調されてしまうけど、そのことを知らない人にも楽しめるアルバムですよ。
ティト:うれしいな。スタイルよりソウルを重視して、感じたままを音にしているよ。
郷太:ティトはこれまで偉大なアーティストにたくさん会ってきたと思うんですけど、特にすごいショーとかすごい人っていうのを教えてもらえますか?
ティト:エタ・ジェームズ。モータウンより前の時代に見た。ジャッキー・ウィルソンも。あとボビー・テイラー&ザ・ヴァンクーヴァーズの前座を務めたことも思い出す。
郷太:ジャクソン5の最初のプロデューサーですね。
ティト:彼が私たちをデトロイトのモータウンに連れて行ってくれたんだ。当時のスターたちは今のアーティストとはオーラが桁違いだった。今はみんな普段着のままでステージに上がるけど、衣装も派手でパリッとしていてね。コモドアーズは衣装が届かなくて下着姿で演奏したことがあるんだよ(笑)。ライオネル・リッチーも。
郷太:ロンドンでジャクソンズに会ったとき聞いたら、いちばん好きなアルバムはマーロンもジャッキーもティトも『デスティニー』(1978年)だって言っていたんですよ。それをすごくよく覚えているんですけど。
ティト:初めて兄弟だけでプロデュースしたアルバムだから。すごく売れたしね。曲作りも演奏も、何をするにも兄弟一緒だった。バスケットボールや野球のチームも組める人数だったからね。とくにジャーメインとは1歳違いだから双子のように育って、今も仲よしだよ。今も私の一番の親友は兄弟たちだ。『ティト・タイム』に刺激を受けて、彼らがまた活発に活動してくれることを期待している。
――12月18日に行われたノーナ・リーヴスのステージで共演されたそうですね。
ティト:1曲だけだったけど、楽しかったよ。ノーナ・リーヴスはミュージシャンシップが高くて素晴らしいバンドだ。
郷太:ありがとう。もしまた来日してくれたら一緒にやりたいですね。僕らジャクソン5の曲もいっぱいできるし、「帰ってほしいの~ABC~小さな経験」のメドレーもカバーしているんです。近いうちにもっと関われるんじゃないかと思っています。
ティト:喜んで。一緒にやる準備はすでにできているよ。
<取材・文/高岡洋詞 撮影/水野嘉之>
『ティト・タイム』 アーティスト活動50年目、63歳にしてのソロ・デビュー・アルバム |
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