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元メンエグモデルの“難民”「日本とミャンマーの架け橋になりたい」

 シリアをはじめとする中東各地より、戦火や貧困から逃れるためヨーロッパに侵入する難民の群れ……。民族大移動を思わせるその光景、日本人にとっては馴染みが薄いと思われがちだが、決して他人事ではない。じつは日本にも“難民”は存在するのだ。

 ミャンマーから政治難民として、8歳の時に家族とともに日本へ亡命した渋谷ザニー氏(32歳)。言葉もわからない異国の地で、ギャル男雑誌のモデルを皮切りに、ファッションデザイナーとして、テレビなどのコメンテーターとして、常に前へと向かって歩き続けている。

渋谷ザニー03 前編では、夢のスタートラインでもあったモデル時代について語ったザニー氏。今なお自身を育んでくれた渋谷への想いは尽きないという。

「暴力的な部分とキラキラした文化的な面があって、まさに当時の渋谷はカオスでした。僕が『渋谷ザニー』と名乗ったのは、渋谷が僕の原点だから。そんな街で読モになれたおかげで、人生が大きく変わったともいえます。だからこそ、JOY、益若つばさ、星あや、荒木さやかには、同じ原点を持つ人間として、本当に頑張って欲しいと思ってます」

 渋谷への愛は、今も昔も変わらない。だが、いつしか心の奥に隠していた想いが込み上げてくることになる……。

自分が“難民”であることを言えば誰かの勇気になる


 モデル、そしてその縁でファッションデザイナーの仕事にも携わるようになり、まさに順風満帆だった。だが、その頃、彼に大きな影響を与えるニュースが飛び込んできたのだ。それは、祖国ミャンマーでのデモ騒動。

「当時の僕にとって“ミャンマー”とか“難民”ってキーワードは何ひとつ必要なかった。コンプレックスで隠してた部分もあったし、わざわざ言わなくても僕は僕、関係ないと。その考えが変わったのがちょうど10年前、デザイナーを始めた頃なんです。ミャンマーで僧侶のデモ行進を見て、本当にショックで。自分と同じ世代の僧侶や兵士が映ってるのが衝撃だったし、そういったデモが思想的なものなのか、それとも生活苦からなのかはわからないけど、そういった民衆の想いを背に立ち上がってる僧侶たちを見たとき、自分は何やっているんだと……」

 ザニー氏は、祖国にいる同世代が何かに立ち向かっているなかで、自分のエネルギーを己の欲望にのみ注ぎ込んでいたことに焦燥感を覚えたという。そして起こした行動とは。

「自分こそ、この渋谷ザニーこそ、ミャンマーで生まれて育ったのに。それを言わなきゃ。そう思って国連難民高等弁務官事務所(UNHCR駐日事務所)の小冊子でコメントを掲載したら、朝日新聞が取り上げてくれて。僕の中ではそこまで広がるとは思ってなかった。僕自身、何ができるか模索している状態だったから。そのとき、僕のお兄さん的な存在で、今は外務省にいる方が『まず、貴方が難民である、ということを声を上げて言うべき。その発言が、貴方の隣にいる同じような境遇の人、何ひとつ変わりようもないと思っている人に対して、夢を持ってエネルギッシュに頑張っている人もいるんだというメッセージになる』と教えてくれたんです」

 そんなアドバイスもあり、ザニー氏はその後、より多角的な活動を心がけるようになったという。あれから数年の時を経て、改めて自分が祖国ミャンマーに対して何ができるのか考えた結果、デザイナーの経験を活かし、縫製技術の支援を思い立つ。

ミャンマーの子供たちにミシンを教える「寺子屋」活動


「30歳を過ぎて思ったのが、僕がデザイナーとして培ってきた技術をシェアしたい。それも社会の中で、弱い環境にいて、その技術を本当に必要としている人たちに伝えたい。そういった考えで、僕は『寺子屋』活動を始めたんです。自分のアトリエから離れて、ミシンだけ持ってミャンマーの子供たちに縫製技術を教えに行く。その子供たちというのも、昔からお世話になってるお寺の檀家の子たちなんですよ。ストリートチルドレンだったり、片親だったり両親の顔も知らぬまま、お寺に預けられた子たち。ミャンマーは昔の日本みたいに地域とお寺の繋がりが色濃く残っていて。ミシンを覚えるために、子供たちや恵まれない家庭の母親などが通うようになってくれました。そういった地道な活動が、結果としてミャンマーの多くの人たちに活躍の場を与えられるんじゃないかと考えています。いま、日本のモノ作りは縮小傾向にありますが、引いては日本のためにもなるのではないかと」

 まさに、日本とミャンマーの架け橋となるべく、この活動を続けていくそうだ。

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今後はメディアでメッセンジャー(伝達者)になりたい

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