スポンサーがつきにくい会社とは?
上述のような内容は、財務体質やビジネスモデルを見たうえで、スポンサーとして投資をしたいかどうかという観点での判断でした。「鼻がきく」という投資感覚を投資家は意外に重要視しており、それら感覚はまさに「肌感覚」ではあるもののバカにできません。
一方で、「スポンサーがつきにくい会社」をあえて言語化してみると、下記のようなものになります。
企業経営でとても重要なことは「やるべきことをキチっとする」ということ。経営目標を立て、各現場の目標へと落とし込み、それを実直におこない、見直し、状況にあった計画を再度立案し実行する。そんな当たり前のことをどれだけキチっとやり続けられるかが重要です。
そのためには、会社の隅々までキチっとする文化を作っておかなければなりません。社員が、身だしなみや清潔感、整理整頓に鈍感であれば、ビジネスがおろそかになる確率は相当高いです。
玄関が整理整頓されていない。机の上に書類がつみ上がっている。掛け時計が置かれてる。そんな会社で、経営が安定しているケースをあまり見たことがありません。東芝ほどの大きな企業であれば、これらのポイントは基本的には問題ないでしょうが、ホワイトボードのマジックインクあたりは、かすれている会社は多いかもしれません。
経営幹部が、GoogleではなくYahoo!で検索している
Yahooトップページ
筆者は、ネット検索をする上で、Yahoo!よりGoogleの方が圧倒的に便利であると考えています。多くのサラリーマンもそうでしょう。そんなGoogleを使うのが主流の時代に、経営幹部がGoogleを使っていないということは、経営判断も時代に乗れないのではないかと判断されます。
また、Yahoo!よりGoogleの方が便利ではないのかと比較検討すらしていないのではないかと勘ぐってしまいます。
経営は、時代の潮流をよみ、常に改善が必要。トップがこうした些細な積み上げができるかどうかで、会社の方向は大きく変わっていくものです。テクノロジーを売りにしている東芝役員がYahoo!検索をしているならば、かなり危険だと思います。当然、確認はできませんが。
空席の会長室がある
これはとくにオーナー系企業の会社に多いです。
毎日来るわけでもない会長専用の部屋がある。広々としたスペースに誰も座らない机が置いてある。これらはすべて危ない会社です。
筆者は再生が必要な中小企業への投資検討の際に、会長室に通され応接されることがよくあります。そこで、ごちゃごちゃと会長の趣味であろう骨董品や絵画が飾っている状況を見ると、先代の経営の枠を超えた意思決定ができない会社だったから窮境においこまれたのだろうと思ってしまうのです。
また、経済合理的にも、無駄なスペースを有効活用できないということは、経営者としての感覚が鈍い証拠。このスペースが貸し会議室にならないか?と考えて行動をおこせるのが未来を見据えて会社を潰さずに済む経営者です。
東芝には、浜松町の本社(浜松町ビル)や子会社のビルに役員の部屋がどの程度あるのか、ぜひ検証してもらいたいです。有価証券報告書に、未稼働役員室の割合を表記すれば、意外と業績と連動し、投資判断における重要な指標となるでしょう。
まとめ
【スポンサーがつきやすい会社の特徴】
1:社員がお客さんと目を合わせる
2:自社ビルじゃない
3:社用車が多い(減らせる)
4:法人むけの事業より消費者むけの事業を行っている
5:たとえ斜陽産業でも競合が少ない事業を行っている
6:“面”を抑えている
【スポンサーがつきにくい会社の特徴】
1:玄関の靴箱が整頓されていない
2:経営幹部が、GoogleではなくYahoo!で検索している
3:空席の会長室がある
【三戸政和】
日本創生投資代表取締役CEO。日本最大級のベンチャーキャピタル、ソフトバンク・インベストメントにて、国内外の投資先に経営参画しながら、成長戦略、株式公開支援、M&A戦略、企業再生戦略などを行う。その後、兵庫県議会議員経て現職。同志社大学卒業。